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岩波新書 新赤版1786

モンテーニュ 人生を旅するための7章

著:宮下 志朗

紙版

内容紹介

「人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちを備えている」──不寛容と狂気に覆われた16世紀のフランスを、しなやかに生きたモンテーニュ。本を愛し、旅を愛した彼が、ふつうのことばで生涯綴りつづけた書物こそが、「エッセイ」の始まりだ。困難な時代を生きる私たちの心深くに沁み入る、『エセー』の人生哲学。

目次

まえがき

序 章 モンテーニュ,その生涯と作品
第1章 わたしはわたし――「人間はだれでも,人間としての存在の完全なかたちを備えている」
 1―1 人間はだれでも
 1―2 「わたし」を抵当に入れてはならぬ
 1―3 おしろいは顔だけで十分
 1―4 「店の奥の部屋」を確保しよう

第2章 古典との対話――「わが人生という旅路で見出した,最高の備え」
 2―1 ローマ人とともに育てられたミシェル
 2―2 書物,人生という旅路の最高の備え
 2―3 昼型の読書人,夜型の読書人
 2―4 セネカ vs.プルタルコス
 2―5 ソクラテスに徳の輝きを見る
 2―6 ソクラテス的な知のありようとは

第3章 旅と経験――「確かな線はいっさい引かないのが,わたしの流儀」
 3―1 どこか遠くへ行きたい
 3―2 旅することの快楽
 3―3 死の隠喩としての旅
 3―4 旅は人間を知るための最高の学校

第4章 裁き,寛容,秩序――「わたしは,人間すべてを同胞だと考えている」
 4―1 真実と虚偽は,顔も似ている
 4―2 拷問とは危険な発明
 4―3 寛容の精神,世界市民として
 4―4 「変革」をきらうモンテーニュ

第5章 文明と野蛮――「彼らは,自然の必要性に命じられた分しか,望まないという,あの幸福な地点にいるのだ」
 5―1 野蛮と野生
 5―2 自然と人為
 5―3 はたしてどちらが野蛮なのか
 5―4 野蛮人から文明人への眼差し
 5―5 文明化と相互理解

第6章 人生を愛し,人生を耕す――「われわれはやはり,自分のお尻の上に座るしかない」
 6―1 なにごとにも季節がある
 6―2 「愚鈍学派」でいこう
 6―3 病気には道を開けてやれ
 6―4 老いること,死ぬこと

第7章 「エッセイ」というスタイル――「風に吹かれるままに」
 7―1 探りを入れる,彷徨する
 7―2 引用する,借用する,書き換える
 7―3 「ぴったりとは合わない寄せ木細工」とソクラテス
 7―4 「エッセイ」の誕生

コラム
 1 ラ・ボエシーとの友情,喪の儀式
 2 『エセー』の陰に女性あり――グルネー嬢とノートン嬢
 3 温泉評論家モンテーニュ
 4 二つの『エセー』――「一五九五年版」vs.「ボルドー本」
 5 モンテーニュの塔を訪ねる
 6 モンテーニュというライバル――パスカル,ルソーなど


あとがき

主要参考文献
モンテーニュ略年譜
『エセー』総目次

ISBN:9784004317869
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:840円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:DS