岩波現代文庫 学術407
中国戦線従軍記
歴史家の体験した戦場
著:藤原 彰
紙版
内容紹介
弱冠19歳で陸軍少尉に任官し、敗戦までの4年間、小隊長、中隊長として最前線で指揮をとった著者は、戦後、その経験をベースに戦争史研究を切り拓き、牽引した。著者がその人生を閉じる直前にまとめた本書は、歴史家の透徹した目を通して日本軍のありさまと兵士・将官たちの日常を描き出した「従軍記」であるとともに、優れた兵士論・戦場論にもなっている。(解説=吉田 裕)
目次
はじめに
序節 士官学校へ入るまで
Ⅰ 華北警備の小・中隊長
陸士を出て中国へ
景和鎮の駐屯地
討伐戦と民衆
チフスで死にかかる
劉窩分屯隊長
冀東へ移駐
聯隊旗手の日々
中隊長となる
中隊の軍紀風紀
関東軍へ移る
一号作戦参加命令
Ⅱ 大陸打通作戦黄河を渡る
郾城の戦闘
長台関の悲劇
湘桂作戦はじまる
中隊の単独行動
茶陵西側高地の夜襲
陣地の攻防
黎明攻撃と負傷
野戦病院にて
関舗西側高地の攻撃
茶陵の滞陣
次期作戦の準備
Ⅲ 遂贛作戦遂贛作戦の開始
遂川挺進隊
飛行場から県城へ
贛州から新城へ
Ⅳ 中国戦線から本土決戦師団へ
歩兵学校への転勤命令
決戦師団の大隊長
敗戦を迎える
終節 歴史家をめざす
【付録】
ある現代史家の回想
一 史学科の学生として
二 現代史に取組む
三 『昭和史』のころ
四 軍事史を専門に
五 一橋大学へ
六 現代史を組織する
七 『天皇制と軍隊』について
解 説……………吉田 裕