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エクス・リブリス

モンスーン

著:ピョン・ヘヨン
訳:姜 信子

紙版

内容紹介

韓国現代文学の到達点

 ピョン・へヨンは、韓国で最も権威ある文学賞・李箱文学賞を2014年に「モンスーン」で受賞し、以後も数々の文学賞を受賞、男女問わず多くの読者に支持される女性作家である。
 派遣社員、工場長、支社長、上司、部下、管理人……都市という森に取り囲まれ、いつのまにか脱出不可能になる日常の闇を彷徨う人たち。「モンスーン」から最新作「少年易老」まで、都市生活者の抑圧された生の姿を韓国の異才が鋭く捉えた九篇。著者のこの10年の充実の作品群を収めた、日本語版オリジナル短篇集。
 「モンスーン」:郊外の団地。ユジンとテオの夫婦関係は冷めきって、会話が成り立たない。きっかけは、生まれて間もないわが子の死だった。子どもを家に置いたまま、二人が別々に外出した時に起きた出来事だった。テオは妻に対する疑念を打ち消すことができない。テオは駅近くのバーで、妻の勤める科学館の館長に偶然出会い……。
 「ウサギの墓」:派遣社員の彼は、6か月間だけこの都市に暮らす予定だが、公園に捨てられていたウサギを抱いて家に帰る。仕事は簡単だった。資料を集め、書類を作り、担当者に提出する。前任者は彼に仕事を引き継いだ後に行方不明となるが……。

著者略歴

著:ピョン・ヘヨン
1972年ソウル生まれ。ソウル芸大文芸創作科卒。漢陽大学国語国文学科大学院修士課程修了。2000年にソウル新聞新春文芸に短篇小説「露払い」で当選。デビュー。07年に短篇小説「飼育場のほうへ」で第40回韓国日報文学賞を、09年に短篇小説「うさぎの墓」で第10回李孝石文学賞を、12年小説集『夜の求愛』で第42回東仁文学賞を、14年短篇小説「モンスーン」で第38回李箱文学賞を、15年には小説集『少年易老』で第60回現代文学賞を受賞した。現在明知大学 文芸創作学科教授(2013~)として在職中。邦訳に『アオイガーデン』(きむ・ふな訳、クオン)、『ホール』(カン・バンファ訳、書肆侃侃房)がある。
訳:姜 信子
1961年、横浜市生まれ。著書に『棄郷ノート』(作品社)、『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(岩波書店)、『はじまれ』(サウダージブックス)、『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『声 千年先に届くほどに』『現代説経集』(ぷねうま舎)、『平成山椒大夫 あんじゅあんじゅさまよい安寿』(せりか書房)など多数。訳書に、李清俊『あなたたちの天国』、カニー・カン『遥かなる静けき朝の国』、編著に『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』(みすず書房)など。17年『声 千年先に届くほどに』で鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。

ISBN:9784560090602
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:242ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2019年08月
発売日:2019年08月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB