検診で見つかるがんの8割は良性がんである
過剰診断時代の予防がん学
著:渡辺 泱
紙版
内容紹介
検診で発見されるがんの約8割は自然に生長を止める「良性がん」である。「早期診断・早期治療」は必須の対策ではない。そんな衝撃的な事実によって、がん治療の常識が変わろうとしている。がんが「過剰診断」され、必要のない治療によって苦痛を受ける「がん患者」が多数生まれるなか、「病気のがん」と「病気とは言えないがん」をどう見極めるか。わたしたちはがんとどう向き合えばよいのか。世界で初めて前立腺検診を開始し、がん検診普及に長年尽力してきた著者による、過剰診断時代における「意図的監視」の効用とがん予防の最前線を伝える啓発書。
目次
はじめに かなりの早期がんは放っておいてよい
1 前立腺がん検診──その開発と発展の歴史
2 がんの成り立ち──発がんについて
3 がんの進展──がんの自然史について
4 がんの消滅と停滞──かなりのがんはある時期に生長を止める
5 がん検診の過剰診断問題──それでもがん検診にはがん死亡の30%を救命できる可能性がある
6 意図的監視のすすめ──過剰診断問題にどう対応するか
7 がんの趨勢と社会──がんは高度成長時代の病気だった
8 がん予防の方法論──予防がん学について
9 それぞれのがんの予防がん学──がんごとに予防法は異なる
10 では現実にどの順番でがんを予防したらよいか──三大リスクは「たばこ・酒・不衛生なセックス」
あとがき 「良性がんは80%」の意味について/がんだけを狙った局所治療について