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はじめて出逢う世界のおはなし

パストラル

ラミュ短篇選

著:シャルル・フェルディナン・ラミュ
訳:笠間 直穂子

紙版

内容紹介

ごろごろする石。乾いた土。ながれる川の、吹いてくる風の、音。土や緑の、山羊や牛の、マッチの、におい。遠くないところで戦争があり、でもここには、べつの戦いがある。べつの剝きだしの生が、ある。
(帯文/小沼純一)

「火でも焚いてみるか?」「あたし、何も持ってない。あんたは?」「あるとも」——山羊の番をする少女のもとに、どこからともなく現れた14歳の少年。風の強い丘の草地、赤い燐マッチで火を熾した二人は隣どうし寝そべり、小石なみにカチカチのチーズを炎でとろりとさせパンにぬって食べる……。夕暮れどきの情景が、香りと音をともない彩り豊かに立ち現れる(表題作「パストラル」)。規範的なフランス語と異なるスイス・ロマンドの地理に即した文学言語をもちい、恋、老い、農家のくらし、山の民話など、人間と、人間を取り巻く世界の根源的な姿を映し出す20作品。

目次

パストラル
農村の年寄り
湖の令嬢たち
日照り
使いの者
居酒屋の老人たち
香具師一家の休息
助けを求めて
野生の娘
山にひびく声
フォリー姿の物狂い
森での一幕
眠る娘

三つの谷
田園のあいさつ
漁師たち
ぶどう作り
恋する女の子と男の子
農家の召使い

著者略歴

訳:笠間 直穂子
フランス語文学研究、翻訳。国学院大学文学部准教授。1972年、宮崎県串間市に生まれる。上智大学外国語学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科単位取得退学。ルーアン大学人文学部専門研究課程修了。著書に『文芸翻訳入門』(フィルムアート社、共著)、『文学とアダプテーション』(春風社、共著)など、翻訳にンディアイ『心ふさがれて』(インスクリプト、第十五回日仏翻訳文学賞)、フローベール「サランボー(抄)」(『フローベール』集英社文庫)など。

ISBN:9784885880971
出版社:東宣出版
判型:4-6変
ページ数:295ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB