出版社を探す

蕭紅評伝 空青く水清きところで眠りたい

著:林 敏潔
訳:藤井 省三

紙版

内容紹介

蕭紅(1911〜1942)は、満洲国から上海に逃れ、魯迅の援助を受けて小説を刊行したものの、日本軍侵略下の香港で31歳の若さで病死した。本書では彼女の人生と全作品を再検討し、これまであまり重視されていない絶筆作『小城三月』に高い評価を与えるなど、新たな観点を示している。読者(特に日本の読者)は、本書を通して、蕭紅という近代中国の困難な時代に生きた女性作家をより深く理解することが出来るだろう。

目次

日本語版序  

序詩 世紀の孤独 蕭紅生誕一〇〇周年に捧ぐ
第一章 蕭紅研究の概況と課題
  第一節 蕭紅研究の概況  
  第二節 研究課題  
第二章 蕭紅の生涯―苦しい人生の旅
  第一節 童年―苦しみと楽しさとが併存した歳月  
  第二節 手を携えて―支え合う跋渉者  
  第三節 破綻―頼もしき人が嵐に変じて  
  第四節 逝去―『紅楼夢』後半の執筆を別人に残して……  
第三章 蕭紅の文学作品における女性観
  第一節 女性と貧困―苦闘と死
  第二節 女性と家―楽園と失楽園
  第三節 女性と愛―追求と挫折
  第四節 女性意識―覚醒と絶望  
第四章 蕭紅と同時代作家
  第一節 蕭紅と魯迅
  第二節 蕭紅と丁玲
  第三節 蕭紅と関露
結 び

原 注  
あとがき  
訳者解説―蕭紅への篤い共感に溢れる評伝、作品論  
人物索引

著者略歴

著:林 敏潔
1987年日本留学、1993年東京学芸大学卒業、1995年同大学院修士課程修了、2000年慶應義塾大学大学院博士課程修了。1995~2011年慶應義塾・早稲田・國學院・明海など各大学で教鞭を執り、2009年より東京学芸大学特任教授就任。2011 年中国江蘇省特別招聘教授に就任、南京師範大学東方研究センター長となって現在に至る。専攻は現代中日比較文学研究など。応用言語学・文学博士。主な著書に『日・中大学生の価値観比較Ⅰ――大学観・学習観・人生観』『日・中大学生の価値観比較Ⅱ――国際観・結婚観・仕事観』(万葉舎)、『莫言の思想と文学』『莫言の文学とその精神』(共訳、ともに東方書店)など。
訳:藤井 省三
1952年生まれ。1982年東京大学大学院人文系研究科博士課程修了、1991年文学博士。1985年桜美林大学文学部助教授、1988年東京大学文学部助教授、1994年同教授、2018年東京大学名誉教授、現在は名古屋外国語大学教授および南京大学海外人文資深教授、2005~14年日本学術会議会員に就任。専攻は現代中国語圏の文学と映画。主な著書に『魯迅と紹興酒』(東方書店)、『中国語圏文学史』『魯迅と日本文学――漱石・鷗外から清張・春樹まで』(以上、東京大学出版会)、『村上春樹のなかの中国』(朝日新聞出版)、『中国映画 百年を描く、百年を読む』(岩波書店)など。

ISBN:9784497219114
出版社:東方書店
判型:A5
ページ数:320ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB