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命をつなぐ政治を求めて

人口減少・災害多発時代に対する〈新しい答え〉

著:嘉田 由紀子

紙版

内容紹介

まずは、議論を積み上げよう!――後追い型ではなく「事前対応型」の政策を滋賀県政で実行してきた著者による人口・格差・経済・災害問題に挑むこれからの政治への新しい提案。

目次

序 章 「現象後追い型」ではなく「事前対応型」政策を!

第1章 人口減少に対する〈新しい答え〉
出生率全国二位の滋賀県から発信できること
子産み・子育て経験が滋賀県知事の仕事を支えてくれた
諸外国との比較からみえてくること―近代化の中でも出生率の高い国がある
フランスの子育て政策は「家族省」による横串政策を実現
女性の有業率の高い国は出生率も高く国家財政も安定的
当事者目線の「子育て三方よし」、横串政策実現のため「子ども・青少年局」を組織化
生まれるときの危機対応―新生児死亡率の大幅改善
出産時の「ゆりかごタクシー」を全国で初めて開始
保育園と学童保育不足には「子育ての社会化」意識の浸透が必須
子どもは親を選べない―孤立する母親・父親が苦しむ結果の児童虐待
孤立する母親たちへの支援―ほっと安心子育て支援、専業主婦にも保育園の開放を
「マザーズジョブステーション」で子育て中の女性の仕事と家庭の両立を支援
男女ともに、ライフスタイルに応じた切れ目のないサポートを
子どもの貧困対策には、女性差別賃金体系の是正と民法改正で共同親権を
これからの子育て支援は「子ども・家族省」による横串のセーフティネット政策で

第2章 格差社会と経済問題に対する〈新しい答え〉
働く場への橋をかけて、雇用確保による生活保障を
若者に安定した職を! 就職マッチング
子ども時代からの仕事への意識育てを
企業誘致で地域を元気に!―ローカルとグローバルのバランスをとる
第二次産業が主体の滋賀県の産業変遷
琵琶湖の環境保全と両立できる企業立地を!
新幹線新駅中止後の企業誘致は環境産業で
環境保全型、内需型、研究開発型の企業誘致、八年間で二五〇社を超える
地域の魅力まるごと産業化でブランド価値を高める
感性を活かした新事業応援ファンド―地域資源の発掘・開発・発信
農畜水産物を需要側目線をいれて「おいしが うれしが」
「ココクール」から東京進出の「ここ滋賀」人気へ
観光交流で地域資源発掘―水の宝100選から水の日本遺産

第3章 高齢化社会の不安に対する〈新しい答え〉
滋賀県の男性寿命日本一はなぜ?
医療・生活習慣・生活環境の三領域改善がポイント
高齢化社会の医療費の高低をどう解釈するか?
死をどこで迎えるか、生老病死が家族から消える
死をタブー視しない政策を知事選挙で訴え、地域包括ケアシステムを展開する
多職種連携のネットワークは県民の安心づくりのために
大往生でありがとう―守山市Mさんと日野原重明さん

第4章 災害多発不安に対する〈新しい答え〉
二〇一八年七月の西日本豪雨で見えてきた流域治水政策の必要性
明治時代以降、「近い水」はなぜ「遠い水」に変わったのか?
新しい河川法実践の幕明けとなった淀川水系流域委員会
淀川水系流域委員会での四〇〇回の議論の後、「ダムは原則つくらない」と決定
大戸川ダムの必要性はなぜ低い?
二〇〇六年知事選挙でのダム見直しマニフェスト
洗堰の全閉解消と大戸川ダム建設のかかわりをこじつける国の方針
「洗堰の全閉解消」を下流への脅しとしない知事としての決意
上下流の四府県知事連携で大戸川ダム建設の緊急性を先送り
滋賀県独自の命を守る流域治水政策は生活環境主義を基調とした新しい答え
滋賀県における流域治水対策の四つの枠組み
浸水警戒区域の指定第一号の米原市村居田の覚悟と防災省の提案
国の縦割りを乗り終え、予防から発災後の復興・再生を一貫してできる組織を
三日月知事の大戸川ダム建設推進は「忘己利他」ではなく「忘他利己」か?

第5章 原発依存社会に対する〈新しい答え〉
なぜ「卒原発」を滋賀県から提唱したのか「被害地元」知事の責任と苦悩
琵琶湖の多面的価値と若狭原発地帯との近接性
関西広域連合の「力ウンターパー卜支援」と全国知事会での「卒原発」の提案
放射性物質の拡散リスクの見える化とデータの共有戦略
国民理解のための原発政策への七つの提言
琵琶湖には逃げる足がない!―実効性ある避難計画は現段階では不可能
原発は、エネルギー政策の原理に適合しているのか?―安定供給、経済性、環境適合
自治体としてとるべきエネルギー政策とは?―地域経済振興と環境保全の両立を目指す
エネルギー政策は地域経済振興―振興戦略プランづくり
エネルギー振興戦略プランの実現を目指すためのドイツ調査
原発に依存しない新しいエネルギー社会づくり―滋賀県としての新しい戦略
「生活防災」を入れ込んだ防災危機管理センターと「防災・復興省」(仮称)の提案

参考文献

あとがき 冷静な政策議論を!―地方自治と国政をつなぐには

著者略歴

著:嘉田 由紀子
1950年埼玉県本庄市生まれ。京都大学大学院・ウイスコンシン大学大学院修了。農学博士。1981年滋賀県庁に入庁し、琵琶湖研究所研究員、琵琶湖博物館総括学芸員を経て、2000年京都精華大学人文学部教授。2006年7月、新幹線栗東新駅や県内6つのダム、廃棄物処分場などの高コスト公共事業の凍結・中止を含む「もったいない」マニフェストを掲げて当選。2010年、二期目に過去最大得票で当選。2014年知事勇退後、びわこ成蹊スポーツ大学学長、2017年引退。チームしが代表。

ISBN:9784833111300
出版社:風媒社
判型:4-6
ページ数:348ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPT