子らのゐて
著:御子柴 明子
紙版
内容紹介
◆第一句集
三十歳で途切れてしまった
長男のアルバム。
その思い出と
それからの母の思いを
残したいと思い立って
編まれた句集。
小児精神科医として
俳句作者として
喪失感と虚無感から
立ち直る力を与えられたのは
新たな幼い命だった。
(帯・西村和子)
◆西村和子抄出
振り向けば雪嶺がまた別の顔
凧揚げて売りて故宮の秋日和
秋晴も秋風もガラスの向かう
屋根掴む氷柱魔王の指のごとし
冬の朝遺品の時計遅れ気味
雪片のとどまらず時とどまらず
炬燵から出よとばかりに電話鳴り
子らのゐし葡萄の粒のやうな日々
月朧ろ天上の子と酌み交はす
産み月の威風堂々嫁小春