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本にまつわる世界のことば

他著:温 又柔
他著:斎藤 真理子
他著:中村 菜穂

紙版

内容紹介

第一線で活躍する、現代の人気作家、翻訳家たちによる、 本にまつわる言葉を巡る書き下ろしのショートストーリー、 エッセイ、そしてイラストの共演――。 本好きのあなたに贈る、一風変わったアンソロジー! 【著者代表より】(まえがきより抄録) フランス語では、黄昏どきのことを「犬と狼のあいだ」(entre chien et loup)と言うそうです。その時刻になると犬と狼の見分けがつかなくなるから、と。日の光はまだあるのにちょっと暗くなって、自分のまわりがおぼろげになってしまうあの雰囲気を、見事に言い表したことばです。  僕はこの表現を知ってから、夕暮れの光のなかで我が家の柴犬を見ると、そこに狼の姿が重なるようになりました。とはいっても、ニホンオオカミは絶滅してしまったので、ぼんやりしたイメージでしかありませんが。 *  ふとしたことばが、まわりの世界を見る目や、世界との接し方を変えてくれる。僕が本を読むのは、そんな瞬間を求めているからかもしれません。  世界のあちこちで、何かを求めて本を手に取り、夢中で読みふける人たち。何百年も、ときには何千年も続けられてきた読書という営みのなかで、多くのことばがこれまでに生み出され、今も使われる日常のことばとして定着しています。  本や読書とともに育まれてきた人々は、独特のことばを作り出してきました。そのなかには、ことばや本というものをまた違った目で見るきっかけになるようなものが多くあるはずです。言ってみればそれは、「ことばをめぐることば」の豊かさを知る機会でもあります。 *  そうした思いから、各国語に詳しい方々に、どんな独特の表現が存在するのかを教えてもらうことにしました。そうした表現を集めて、意味や使われ方を載せるだけでも、じゅうぶんに面白い本になっただろうと思います。でも、日頃から僕が好きな作家や翻訳家の方々が集まってくれたので、ちょっとわがままを言わせてもらい、それぞれの表現の味わいがさらに増すようなエッセイかショートストーリーをつけていただくこともお願いしました。そこに挿画をつけてもらうという贅沢まで叶えてもらい、この本が完成しました。 *  単語から慣用句、ことわざまで、出揃ったことばの多彩さ、それをさらに色あざやかにしてくれるエッセイや物語、そしてイラストの共演を、楽しんでいただけたらと思います。もちろんまだまだ数は少ないですし、フランス語では僕がちょっと脱線してしまい、厳密には読書関係ではないものがちょっとだけ紛れ込んでいますが、どうぞご容赦ください。  おまけとして、それぞれの文章に、文学作品など、何かの本につながる糸を一本だけ盛り込んでもらいました。そうした糸をたどって、さらに多くの本やことばと出会うきっかけにしてもらえれば、これほどうれしいことはありません。 著者代表 藤井光

目次

※制作中のため、変更になることがあります。

002 まえがき
004 目次
006 本にまつわる言葉から創作されたショートストーリー
008 ブクヴォエード ロシア語
010 ビント=シャファ アラビア語
012 ファン・リィエン・ビー・ファン・シュ・ハイ・クァイ 中国語
016 エクリール・コム・アン・コション フランス語
020 ドッグ・イヤー 英語
022 エー・エス・ディー・エフ・ジェー・ケー・エル 英語
024 ラ・モール・ドゥ・プティ・シュヴァル フランス語
028 ななめ読み 日本語
030 ラオ・シュ・ケン・シュ - イャォ・ウェン・ジャオ・ズー 中国語
034 ページ・ターナー 英語
036 ペジャヴュ 英語
038 ペップドソ 韓国語
040 活字離れ 日本語
042 イツとイチュ バスク語
044 レトラエリード スペイン語
045 アズ・ガウンカ・メズ・ボウク・イー・マガニュム アイスランド語
046 ビサーチ・フ・ストール ロシア語
048 ナズム アラビア語
050 本にまつわる言葉にかんするエッセイ
052 ジェルデ・ドッヴォム ペルシャ語
054 マスナヴィーイェ・ハフタード・マン・カーガズ ペルシャ語
056 ソズ トルコ語
058 シャルク、テュルキュ トルコ語
060 ケタービー・ネシャスタン ペルシャ語
062 ハルハーン ペルシャ語
064 エブル トルコ語
066 オヤランマク トルコ語
068 ピルドクソ 韓国語
069 チェクチャン 韓国語
072 ディーヴァーン ペルシャ語
074 ヴァラグ・サダン ペルシャ語
076 クニホモル チェコ語
077 ラ・ド・ビブリオテーク フランス語
078 トラデュットーレ、トラディトーレ イタリア語
079 エイアールシー 英語
080 積ん読 日本語
081 ヴィー・エア・イム・ブーフ・シュテート ドイツ語
082 リテラトゥラ・ド・シュプリーク チェコ語
083 ネズヴァル チェコ語
084 バイト アラビア語
 サバブ アラビア語
 ミスラーア アラビア語
085 バハル アラビア語
 ワティド アラビア語
086 ダス・イスト・アイン・ゲディヒト ドイツ語
087 リテラート ドイツ語
088 ダス・コムト・ミア・シュパーニッシュ・フォア ドイツ語
089 ベヘールデンヒネージッシュ ドイツ語
090 ウンビリクス ラテン語
091 ロシニョール フランス語
092 カームース アラビア語
093 ムサウワダ アラビア語
094 参考図書
100 著者紹介

著者略歴

他著:温 又柔
温又柔(おん・ゆうじゅう)
小説家。1980年台湾・台北市生まれ。3歳から東京在住。台湾語、中国語、日本語の飛び交う家で育つ。2009年「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞し作家デビュー。著書に『来福の家』『台湾生まれ 日本語育ち』(白水Uブックス)、『真ん中の子どもたち』(集英社)、『空港時光』(河出書房新社)、最新刊は「よりみちパン!セ」シリーズより『「国語」から旅立って』(新曜社)。音楽家・小島ケイタニーラブと結成したユニット「ponto」の一員として演奏×朗読によるパフォーマンスも行う。
他著:斎藤 真理子
斎藤真理子(さいとう・まりこ)
1960年、新潟市生まれ。韓国語翻訳者・ライター。『カステラ』(パク・ミンギュ、ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞。訳書に『こびとが打ち上げた小さなボール』(チョ・セヒ、河出書房新社)、『ピンポン』(パク・ミンギュ、白水社)、『誰でもない』(ファン・ジョンウン、晶文社)、『フィフティ・ピープル』(チョン・セラン、亜紀書房)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)など。韓国を楽しみ・味わい・語らう雑誌『中くらいの友だち』(韓くに手帖舎発行・皓星社発売)創刊メンバー。
他著:中村 菜穂
中村菜穂(なかむら・なほ)
1981年、岩手県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程満期退学。現在は大東文化大学非常勤講師。ペルシア語文学翻訳者・イラン文学研究者。共著に、森茂男編『イランとイスラム――文化と伝統を知る』(春風社)、共訳書に『現代イラン詩集』(土曜美術社出版販売)、ジャーレ(アーラム=タージ・ガーエムマガーミー)『古鏡の沈黙――立憲革命期のあるムスリム女性の叫び』(未知谷)、中東現代文学研究会編『中東現代文学選2012』、同編『中東現代文学選2016』がある。

ISBN:9784422701219
出版社:創元社
判型:B5変
ページ数:104ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:GLK