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多文化共生社会に生きる

グローバル時代の多様性・人権・教育

編著:李 修京
監:権 五定
監:鷲山 恭彦

紙版

内容紹介

国境を越える人の移動は増加の一途をたどり、日本もその例外ではない。本書は、多文化社会における多様性や、人権問題などの課題を事例を通して紹介し、現代社会に求められる人権意識、国内外の多様性、必要な教育について考察を促す契機を提供する。

目次

 まえがき[李修京]

序章
 1 多文化共生社会の構築に向けて――課題と展望[相原次男]
 2 平和を脅かす暴力を克服して人権を守り抜く[安斎育郎]

第1章 多文化共生社会のための人権意識
 1 国連による人権保護・伸長のための構造[鄭鎮星]
 2 共生と社会の正義を模索してきた人類の知恵から人権保障へ[李修京]
 コラム 国際社会の人権に関する動き[李修京]
 3 レイシズム――手を変え品を変え人の心に食い込む[井竿富雄]
 4 〇〇人以前に、この時代に生きる命としての尊厳[李修京]
 5 障害・遺伝性疾患のある人――生まれてこない方がよかった?[井竿富雄]
 6 「障がい者スポーツ」がなくなる日まで[渡辺雅之]
 7 男女両性が支え合う平等社会へ[李修京]
 コラム 映画『マルタのやさしい刺繍』――男女同権について考える[若林恵]
 8 地球温暖化と人権[小山田和代]
 9 原子力と基本的人権――福島第一原発事故の教訓[藤田明史]
 コラム 「安全保障」概念の解体構築[藤田明史]
 10 移民・難民の対応に見る「多文化共生」のもろさ[権五定]
 11 難民の時代に市民教育を考える[許壽美]
 コラム アメリカ合衆国で「復権」するドイツ系移民[加賀美雅弘]
 12 多文化共生社会への道のりと多文化教育[権五定]

第2章 世界各地の多文化共生社会への眼差し
 1 過去と向き合うスイス――理想化された自画像を克服するために[若林恵]
 2 現代における紛争解決の理論的地平[清水耕介]
 コラム 戦時に逢った人たち[権五定]
 3 抵抗について考える[清水竹人]
 4 子どもは未来である――児童労働・難民・貧困・人身売買・子ども兵[李修京]
 コラム 難民キャンプで考える[後藤麗]
 5 中国における流動・留守児童の教育問題とその解決――社会からの支援を中心に[侯婷婷]
 コラム 中国における留学生事情[日下部龍太]
 6 イスラームについて知る――イメージの乖離?[小林春夫]
 コラム 「人間を食らう牛」[出口雅敏]
 7 宗教と寛容――『法華経』を中心に[植木雅俊]
 8 砂漠に吹く新しい教育の風――ダルバーリー自由ヴァルドルフ校の試み[小西公大]
 9 日本の文学と映像作品における在日コリアンの表象[ゴズマン ヒラリア/ハウフス=ブルスベルク マーレン]
 コラム 多文化社会の音楽――オーケストラの指揮者として考える[権周瑢]
 10 アロハの心とともに生きる[クエセンベリー紘子]
 コラム 「雑魚」とみなされがちな魚の利用からみた多文化[橋村修]
 11 多文化都市のトロントに生きる[レイノルズ道子]
 コラム キムチがつなぐ日本と韓国――キムチづくりのワークショップから[岡本優子]
 12 韓国における「学生人権条例」 制定をめぐる論争と学生の人権問題――文化的アイデンティティを理由とした差別の禁止の意義[金映錫]
 13 国境を越えるスポーツ文化――サッカーを中心に[李昌燁]

第3章 日本の多文化共生社会への眼差し
 1 日本の人権教育[林尚示]
 2 外国人集住地域における多文化共生の今とこれから――ブラジルタウン群馬県大泉町を参照例として[藤原奈津子]
 コラム コンビニから日本の多文化共生を考える[佐高宏美]
 3 大学における多文化共生に向けた実践活動報告――国際交流活動、多文化共修科目、ヒューマンライブラリーを中心に[岡智之]
 コラム 首都圏に居住する中国朝鮮族の子どもの言語学習環境――東京泉(センムル)学校を中心に[蔡光華]
 4 在日の視座――地域住民として[呉文子]
 コラム コリアンとしてのアイデンティティの3つの軸[柳学洙]
 5 『星夜航行』(飯嶋和一)を読む[内田雅敏]
 6 言論・インターネットによる被害と人権[殷勇基]
 7 ヘイトスピーチ――排外主義に抗し多文化共生社会を志向するために[呉永鎬]
 8 セクシュアル・コンセント概念と啓発への提言[城渚紗]
 コラム 他者への敬意――ドラマ『おっさんずラブ』を観て[杉本加代子]
 9 基地の街・朝霞から見えてくる日本と世界[中條克俊]
 10 難民をめぐる諸問題――日本のクルド難民を中心に[吉田香]
 コラム 横断歩道を渡れない残念な歩行者たち[マニュエル・サドフスキー]
 11 多文化共生社会における日本人と宗教[藤井健志]
 12 単なる共存から、真の共生に向かって――村里に見る多文化共生[鷲山恭彦]
 13 多文化共生の観点から見るネパール人留学生の実態――福岡を事例として[柳基憲]
 14 文化接触地帯(contact zone)の教室――日本と韓国の教師の語りから[車ボウン]
 15 高齢者の終の住処と人間としての尊厳[李修京]

第4章 多文化共生のための教育
 1 人権・人権教育と世界市民教育――国連とユネスコの活動を中心に[許宗烈]
 コラム 多文化時代の平和と人権のための歴史教育[李智媛]
 2 「教権」の危機と対応をめぐる問題――韓国の事情を中心に[朴龍祚]
 3 「教室」の中の多文化共生を考える[戸田孝子]
 4 障害学と障害文化の観点から見た障害者の人権教育[朴南洙]
 5 博物館を利用した多文化教育[鄭虎範]
 コラム 博物館の多文化教育プログラム[鄭虎範]
 6 共生をめざす音楽教育――文化の変容と創出を営む学習へ[小山英恵]
 7 漢字使用圏における多文化共生――漢字の名前をめぐって[木村守]
 8 性の多様性・性の平等を認め合う人権社会へ[李修京]

 あとがき[権五定]

ISBN:9784750348322
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:352ページ
価格:2500円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB