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平凡社新書 912

新宿の迷宮を歩く

300年の歴史探検

著:橋口 敏男

紙版

内容紹介

明治時代、新宿駅の誕生当初は、武蔵野の雑木林の中。タヌキ小屋や茶店のあるのどかな田舎駅だった。
やがて京王線や小田急線といった郊外電車の開通や、関東大震災を契機とし、ターミナルとして発展を遂げ、昭和の初めには日本一乗降客数の多い駅になっていく。
本書では、新宿の黎明から文化の繁栄、当時の市井のグルメ・デパートやカフェーなど、新宿の当時の姿を鮮やかに描きだす。
新宿駅や駅とともに発展してきた東口や歌舞伎町、西口などの街の史実を辿るとともに、歩いて歴史の痕跡を探る。
内藤新宿の飯盛女と遊郭などの江戸時代の新宿の様子に加え、紀伊國屋、中村屋、新宿高野のはじまり、新宿二丁目が牧場だったという意外な歴史、さらに新宿遊郭に住んでいた夏目漱石など、文豪と歴史のかかわりなどにも触れる。さらにアイドル第一号を生んだ劇場ムーランルージュや、アートシアター新宿文化など、文化の中心地となった背景を探る。
新宿御苑、土木遺産玉川上水の秘められた歴史も訪ね、いまや世界一の乗降客数の駅となった巨大繁華街新宿の姿を捉えていく。
<まち歩きマップ付>

目次

はじめに
第1章 新宿駅の誕生
武蔵野の雑木林の中に生まれる
繁華街へ──新宿高野・紀伊國屋・中村屋
郊外電車の発達──京王・小田急・西武
新宿駅前の喫茶
【コラム】 新宿駅東口を歩く
【コラム】 新宿駅南口を歩く

第2章 新宿に出現したサラリーマンの暮らし
ハイカラな文化住宅
新宿デパート物語
新宿グルメとカフェー
【コラム】 落合にある中村彝、佐伯祐三、林芙美子の三記念館を歩く

第3章 新宿二丁目は牧場だった
新宿発祥の地
内藤新宿、廃駅へ
新宿遊郭と文豪
恋川春町の祥月命日
多様性のまちへ
【コラム】 新宿一、二丁目を歩く

第4章 歌舞伎町の謎
謎その1 歌舞伎町には川が流れていた?
謎その2 歌舞伎町の名づけ親は?
謎その3 歌舞伎劇場の名前は?
謎その4 コマ劇場の「コマ」の意味とは?
謎その5 歌舞伎町はなぜ迷路化した?
謎その6 歌舞伎町の噴水は、なぜ閉鎖された?
謎その7 歌舞伎町のモデルは東南アジア?
謎その8 四季の路はもともと何だったのか?
歌舞伎町の変化
歌舞伎町二丁目
ゴールデン街
新宿の映画館
【コラム】 歌舞伎町を歩く

第5章 集う人々──女優・芸術家・文化人
相馬愛蔵と黒光の中村屋
田辺茂一の紀伊國屋
林以文のムーランルージュ新宿座、地球座、新宿座
葛井欣士郎のアートシアター新宿文化
『新宿新報』に見る戦後の世相
【コラム】 ゴールデン街を歩く

第6章 新宿御苑と玉川上水
新宿御苑
玉川上水 名君・保科正之の水改革
【コラム】 新宿御苑と玉川上水跡の街歩き
【コラム】 内藤町を歩く 玉川上水余水吐跡と鉛筆発祥の地へ

第7章 浄水場から高層ビルへ
明治から昭和の新宿駅西口
淀橋浄水場の移転論
パリの手法で西口を改造
戦後の新宿駅西口
市街地再開発事業
角筈、柏木に住んだ人々
大久保の歴史と人
【コラム】 西新宿を歩く
【コラム】 柏木・大久保を歩く

終わりに

著者略歴

著:橋口 敏男
1955年長崎県に生まれ、東京都で育つ。1977年法政大学を卒業し、学芸員資格を取得。同年新宿区役所に就職した後、まちづくり計画担当副参事、区政情報課長、区長室長などを務める。2016年公益財団法人新宿未来創造財団に移り、新宿歴史博物館館長に就任。

ISBN:9784582859126
出版社:平凡社
判型:新書
ページ数:296ページ
定価:920円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ-JP-C