姿勢としてのデザイン
著:アリス・ローソーン
訳:石原 薫
内容紹介
デザイン界の歴史と文化を振り返り、
直観・創意・問題解決能力に根ざした現代の柔軟なメディアとして、
デザインのラディカルな変貌を描く
「デザインをすることは職業ではなく姿勢である」
――ラスロ・モホリ=ナジ
今、デザインという分野そのものと、それが人々の生活に与える影響は、劇的に変化している。
今ほどデザインにとってチャレンジングで刺激的な時代はない。
商業的な制約に囚われない《変革の主体》として、デザインが社会でより影響力を持つ時代が到来している。
かつてないほどのスピードと規模の変化がさまざまな局面で起こり、リスクも多いこの激動の時代に、デザイナーたち(本職かどうかにかかわらず)は、その役割をどのように果たしているのだろうか。
本書では、環境危機や難民危機、日進月歩のテクノロジーなど、世界が目まぐるしく変化する中、新世代の「デザイナー」たちがデジタルツールを駆使しながら、自ら目指すゴールに向かって、社会や政治や環境の問題に、自主的に取り組んでいる姿を紹介している。彼らはそうすることによって、デザインを工業化時代の商業的な役割から解放し、直観や機知、問題解決を得手とする分野としてデザインを定義し直している。
また、アートやクラフトなど他の分野とデザインとの関係の進化や、「メイキング(作る過程)」(手でも機械でもデジタルでも)への興味回復にデザインが果たしている役割についても取り上げている。
そして性別、地理、人種という意味においてだけでなく、デザインを勉強した経験はないがデザインに関与したい異分野の人々を受け入れるなど、デザイン界のダイバーシティとインクルージョンの向上によってデザイン文化が変化していることについても触れている。
国際的に認められたデザイン著述家・評論家であり、ベストセラー『HELLO WORLD 「デザイン」が私たちに必要な理由』の著者、アリス・ローソーンが、今の時代に求められる「姿勢としてのデザイン」の事例を紹介する。
目次
PROLOGUE プロローグ
Design as an Attitude 姿勢としてのデザイン
CHAPTER1
What is Attitudinal Design? アティテューディナルデザインとは
CHAPTER2
Spot the Difference: Design and Art デザインとアートの違い
CHAPTER3
The Craft Revival 甦るクラフト
CHAPTER4
The Descent of Objects モノの進化と淘汰
CHAPTER5
Back to the Future バック・トゥ・ザ・フューチャー
CHAPTER6
Is Design Still a (Cis)Man’s World? デザイン界はいまだに(シス)男社会か
CHAPTER7
Design’s Color Problem デザインにおける「色」の問題
CHAPTER8
The Fun of the Fair 祭典の楽しみ
CHAPTER9
Choices, Choices, Choices 選択の自由
CHAPTER10
Out of Control 制御不能
CHAPTER11
Design and Desire 好ましいデザイン
CHAPTER12
When the Worst Comes to the Worst 最悪の事態が起こったとき
デザイナーとデザインプロジェクト
参考文献
索引
著者について
謝辞