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1歩前からはじめる 「統計」の読み方・考え方

第2版

著:神林 博史

紙版

内容紹介

「うどん怪獣、大暴れ!?」「人間もすなる統計といふものを、ネコもしてみんとてするなり。」
おしゃべりなネコちゃんと先生が楽しくナビゲートする第2版。
データのアップデートに加え、「統計の基本の基本」の解説をさらに充実。


その思い込みは危険です!常識に囚われて勘違い発言をしたり、成功体験に頼りすぎて、ビジネスチャンスを逃したり。そんな失敗をしないために、これからは「証拠にもとづいた議論」が必要。それを支えるものが統計です。
統計情報を正確に読み、理解し、情報を正しく他者に伝える力を身につけましょう。皆が統計のことをもう少し理解すれば、世の中はもっと良くなるはず!使用データをアップデートし、基礎的事項を拡充した第2版。

目次

序 章 なぜ統計のことを勉強しなければいけないの?
 1 データ・統計・統計学——そもそも「統計」って何だろう
  1.1 統計って何?データって何?
  1.2 データから役立つ情報を取り出そう
 2 証拠に基づいた議論をしよう
  2.1 統計学ブームが起こった理由
  2.2 結婚すると幸せになれる?(その1)—─個人的な経験から考える
  2.3 結婚すると幸せになれる?(その2)─—統計から考える
 3 統計を勉強すれば、こんないいことがある(はず)!
  3.1 ビジネスで勝つ──仕事の道具としての統計学
  3.2 よりよい社会を作る——市民的教養としての統計学
 練習問題

第1章 知ってるつもりの世界と統計でみる世界
 1 世の中って「こんなもの」?——見直してみよう!知ってるつもりの世界
  1.1 子どもの「みんな持ってる!」理論
  1.2 社会の姿を正しく知る方法は?
 2 統計で社会の姿を確認しよう——イメージ通り?統計でみる世界
  2.1 人口は統計の根幹
  2.2 何問正解?クイズで知る日本社会と日本
 3 マスメディアの情報とつきあう2つのポイント
  3.1 こんな情報に気をつけよう
  3.2 出典を確認しよう(ポイント・その1)
  3.3 「目立つ」と「多い」、「部分」と「全体」の混同にご注意(ポイント・その2)
 練習問題

第2章 「びっくりグラフ」にご用心
 1 本当は恐ろしい(?)統計学
  1.1 ウソ・大げさ・刺激的──なぜ統計学の本のタイトルは物騒なのか
  1.2 グラフを使ったトリックに気をつけよう
 2 大人も知らない(かもしれない)グラフの基礎知識
  2.1 わかってますか?棒グラフと折れ線グラフの使い分け
  2.2 棒グラフは比較・折れ線グラフは変化
  2.3 割合を表現する円グラフと帯グラフ
 3 華麗なるびっくりグラフの世界
  3.1 「びっくりグラフ」って何?
  3.2 縦軸をいじってびっくり!(びっくりグラフ・その1)
  3.3 横軸をいじってびっくり!(びっくりグラフ・その2)
  3.4 3Dでびっくり!(びっくりグラフ・その3)
  3.5 思いこみにつけこんでびっくり!(びっくりグラフ・その4)
  3.6 びっくりグラフにだまされないために
 4 びっくりグラフにご用心
  4.1 科学研究における不正行為
  4.2 びっくりグラフがはびこる理由
  4.3 びっくりグラフを知らないうちに「作らない」ために
 練習問題

第3章 わかっているようで意外にわかっていない「平均」と「パーセント」
 1 どう集計する?「しあわせハッピーアンケート」
  1.1 アンケートで幸せになろう!?
  1.2 アンケートの回答をデータ化しよう
  1.3 データはこんなふうにできている
 2 毎度おなじみ「平均」と「パーセント」の使い分け方
  2.1 年齢は平均、性別はパーセント。その理由は?
  2.2 「量」と「質」の違いを理解しよう─量的変数と質的変数
  2.3 とっても簡単!量的変数と質的変数の見分け方
  2.4 集計結果をまとめよう─度数分布表
  2.5 量的変数の分布をグラフにまとめよう─ヒストグラム
 3 平均の性質
  3.1 平均=普通?
  3.2 平均にまつわるよくある誤解
 4 「○%の差」はどうしてダメなの?
  4.1 パーセントの差をどう表現する?
  4.2 変化量は「ポイント」、変化率は「パーセント」
 練習問題

第4章 平均だけで大丈夫?「代表値」と「ちらばり」のこと
 1 平均だけでは不十分!
 2 データの「中心」に注目しよう——3つの代表値
  2.1 「日本の中心」はどこでしょう?
  2.2 データの重心「平均値」(代表値・その1)
  2.3 並べたときの真ん中「中央値」(代表値・その2)
  2.4 いちばん多い値「最頻値」(代表値・その3)
  2.5 外れ値に注意!
  2.6 3つの代表値の特徴と使い分け方
 3 データの「ちらばり」に注目しよう——範囲・分散・標準偏差
  3.1 「ちらばり」って何?
  3.2 平均点が同じなら面白さも同じ?─—映画レビューの考え方
  3.3 データの両端に注目する「範囲」(ちらばりを表現する数値・その1)
  3.4 平均との差に注目する「分散」(ちらばりを表現する数値・その2)
  3.5 分散を使いやすくした「標準偏差」(ちらばりを表現する数値・その3)
  3.6 ちらばりをグラフで表現する「箱ひげ図」
 4 「ちらばり」はこんなふうに役に立つ
  4.1 品質管理に欠かせない標準偏差
  4.2 受験でお世話になった「偏差値」の正体
 練習問題

第5章 「関係がある」ってどういうこと?
 1 統計学における「関係」って何?
 2 「関係」の中身を区別しよう
  2.1 カロリーを取りすぎると体重が増える—─因果関係
  2.2 コミックが好きな人はアニメも好き—─相関関係
  2.3 原因を特定し、問題の解決につなげよう
  2.4 右肩上がりと右肩下がり—─相関関係の「正」と「負」
  2.5 変数の関係の示し方いろいろ
 3 因果関係を分析しよう
  3.1 原因は独立変数、結果は従属変数
  3.2 どう判断すればいいの?相関関係と因果関係の区別
  3.3 因果関係を判断する3つの基準
 練習問題

第6章 本当の原因を探してみよう
 1 新たな謎「第三の変数」登場!
 2 はくさいの恐怖!その真実は……?
  2.1 肺炎の原因は、はくさいだった!(そんなわけない)
  2.2 擬似相関(見かけ上の相関)に気をつけよう
 3 因果関係のさらに複雑な世界
  3.1 擬似相関だけじゃない!いろいろな因果関係
  3.2 風が吹けば桶屋が儲かる─媒介関係
  3.3 貧困の原因は1つとは限らない──原因が複数存在する因果関係
 練習問題

第7章 その統計は信頼できますか?データの6W4H
 1 データの作り方を知ればこんないいことがある(はず)!
  1.1 その統計は信頼できますか?
  1.2 データの作り方を知ることが大切な理由
 2 データの良し悪しを判断するために
  2.1 情報源の確認からデータ情報の確認へ
  2.2 予備知識としての5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)
  2.3 統計データは6W4Hがポイント!
  2.4 10個なんて多すぎる!特に重要な2W3Hとは?
 3 統計の6W4Hを調べてみよう
  3.1 「実際の調査」で確認してみよう
  3.2 6W4Hを調べる習慣を身につけよう
 練習問題

第8章 定義が変わると数値も変わる
 1 定義がなければはじまらない
  1.1 「ひきこもり」ってどういう人?
  1.2 ひきこもりの定義を考えてみよう
 2 定義が変わると数値も変わる
  2.1 「丸まると太る」と「BMI25以上」
  2.2 ひきこもりの人数が異なる理由は定義にあり
 3 定義と数値の微妙な関係
  3.1 いじめは周期的に増加する?
  3.2 「殺人事件」ってどういう事件?
  3.3 完璧な定義でなくても大丈夫!
 練習問題

第9章 誰に聞くかで結果は変わる
 1 誰に聞けば「世論」がわかるの?
  1.1 何のために世論調査を行うの?
  1.2 全員に聞くのはとっても大変─調査対象者をどう選ぶ?
  1.3 「誰に聞くか」が明暗を分けた!1936年のアメリカ大統領選予想
 2 味見はスプーン1杯で大丈夫
  2.1 調査における「全体」と「部分」──母集団と標本
  2.2 スープの味見は、よくかき混ぜてから
 3 偏りなく選んでみよう
  3.1 選ばれる確率が等しくなるように選ぶ「無作為抽出法」
  3.2 俺様好みの女の子を選んでやる!─無作為抽出にならない例
  3.3 実際にはどうするの?
  3.4 こんな調査にご用心──偏った標本を選びやすい3つの方法
 練習問題

第10章 その結果は偶然?それとも……?
 1 なぜ偏りなく選ぶことが大切なの?
  1.1 無作為抽出法が重要な2つの理由
  1.2 標本から母集団のことがわかる(重要な理由・その1)
  1.3 統計数値のずれ(誤差)がわかる(重要な理由・その2)
  1.4 無作為抽出法が特別な理由—─中心極限定理
  1.5 「標本の大きさ」(サンプルサイズ)と「標本数」(サンプル数)
 2 偶然の差とそうでない差
  2.1 微妙な視聴率の差をどう考える?
  2.2 パーセントの誤差を計算しよう
 3 誤差と標本の大きさのやっかいな関係
  3.1 世論調査の回答の誤差はどのぐらい?
  3.2 誤差を小さくするのは大変
 練習問題

第11章 聞き方しだいで答えは変わる
 1 死亡率10%と生存率90%、どちらの手術を受けますか?
 2 聞き方しだいで答えは変わる
  2.1 ポイントは「聞き方」──質問文・選択肢・質問方法
  2.2 「幸せの国」ブータンの秘密
  2.3 どうして異なる?朝日新聞と読売新聞の内閣支持率の謎
 3 「聞き方」の基本
  3.1 質問の作り方の基本原則
  3.2 どうして異なる?ヨーロッパの臓器提供意思表示率の謎
 4 「誰が聞くか」で答えは変わる
  4.1 まだまだある!統計数値に対する6W4Hの影響
  4.2 統計を「作る側」の事情
  4.3 結果が異なる2つの「いじめ」統計
 練習問題

第12章 統計の勘違いに気をつけよう(1)——「数値の意味」編
 1 だまされるより怖い(かもしれない)勘違い
  1.1 その思い込みは危険です!
  1.2 「だまされない」から「だまさない」へ
 2 知ってるつもりの数値に注意
  2.1 パーセント(百分率)ではない「○○率」もある
  2.2 「平均寿命」って何の平均?
 3 その数値の意味、わかってますか?
  3.1 公務員の給料は高すぎる?
  3.2 条件をそろえて比較しよう
  3.3 まだまだある考慮すべき条件
  3.4 本当はそれほど高くない公務員の賃金
  3.5 統計情報の「中身」を精査しよう
 4 数値を正しく読み解くために
 練習問題

第13章 統計の勘違いに気をつけよう(2)——「統計の解釈」編
 1 それって本当はどういう意味?
 2初心者注意の2つの勘違い!「言い替えによる勘違い」と「主観と客観の混同」
  2.1 「満足」と「幸せ」は同じもの?
  2.2 日本の治安はヤバい!?─—治安についての主観と客観のずれ
 3 2つの勘違いが同時発生!「中流意識」と「総中流社会」の問題
  3.1 昔なつかしい(?)「総中流社会」
  3.2 「中」と「中流」の読み替え
  3.3 日本は本当に「総中流」だったの?
 4 解釈の勘違いを避けるための2つのポイント
 練習問題

第14章 「証拠に基づいた議論」を練習しよう
 1 知識から実践へ
  1.1 「知ってる」と「できる」は違う
  1.2 「若者の○○離れ」について
 2 「若者の海外旅行離れ」は本当?
  2.1 「何を確認したいのか」を明確に
  2.2 「若者」って誰?「海外旅行」って何?
  2.3 統計を探そう
  2.4 統計からみた「若者の海外旅行離れ」の実態
  2.5 「若者の海外旅行離れ」が注目された理由
  2.6 統計から言えること・言えないこと
 3 本当の戦いはこれからだ!
  3.1 練習と実践が大事
  3.2 統計を支える人になろう!
 練習問題

高校までの勉強との対応表
今後の学習のためのブックガイド+お役立ち情報ガイド
練習問題解答

引用文献
あとがき
索引

著者略歴

著:神林 博史
2022年1月現在
東北学院大学教養学部教授

ISBN:9784623084784
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:346ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年04月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHBC