岩波新書 新赤版1769
平成経済 衰退の本質
著:金子 勝
内容紹介
バブルとバブルの崩壊から始まった平成時代。マクロ経済政策も、規制緩和中心の構造改革も、「失われた20年」を克服できないどころか、症状を悪化させてきた。セーフティネット概念の革新、反グローバリズム、長期停滞、脱原発成長論などをキー概念に、一貫して未来を先取りした政策提案を行ってきた著者による30年の痛烈な総括。
目次
はじめに――失われたものを取り戻す
第1章 資本主義は変質した
1 バブルを繰り返す時代へ
「バブル循環」/「紙幣本位制」の時代/金融革新と中央銀行/中央銀行によるバブル創出へ/グローバリズムと情報独占
2 一九九七年で経済社会が変わった――「失われた三〇年」とは何か
成長から衰退へ/産業の衰退/「中流」の没落と格差社会/進む家族の「解体」
3 「失われた三〇年」の深層
戦後自民党政治の行き詰まり/無責任体制の正統化
第2章 グローバリズムから極右ポピュリズムへ
1 グローバリズムと「第三の道」―― 一九九〇年代の錯綜
グローバリズムの始まり/金融革新とグローバリゼーション/「第三の道」/北欧福祉国家の変化
2 移民社会の出現と新しい福祉国家
対立と分断の底流にあるもの/移民労働者の増加と労働組合の後退/ダイバーシティと普遍主義
3 対テロ世界戦争とリーマンショック
ブッシュの対テロ戦争と難民問題/リーマンショックとオバマ政権/オバマの「チェンジ」と挫折/トランプのアメリカ/米中「貿易戦争」へ/北朝鮮とイラン/発展するアジアをめぐって/トランプのパラドックス
第3章 転換に失敗する日本
1 振り子時計と「失われた三〇年」
周回遅れの政治が続く/振り子のように振れる政策
2 周回遅れの「新自由主義」
小泉「構造改革」へ/「大きすぎて潰せない」/小泉「構造改革」と地域医療の崩壊/頓挫した地方分権改革
3 転換の失敗がもたらしたもの
民主党政権のマニフェスト/何が問題だったのか/安倍政権とポピュリズム/バラマキのポピュリズム/見せかけのポピュリズム/無力化のポピュリズム
第4章 終わりの始まり
1 出口のない“ネズミ講”
失敗するアベノミクス/出口がない/生命維持装置としての官製相場/歪んだバブル/中央銀行の「死」
2 経済・財政危機の発生経路
甘い見通し/民間貯蓄の減少傾向/政府赤字減少のからくり/貿易赤字化の進行
3 産業の衰退が止まらない
長期停滞から長期衰退へ/産業戦略の欠如/成功が失敗を生む/エネルギー転換の時代
4 社会が壊れていく
新しい格差社会
第5章 ポスト平成時代を切り拓くために
(1)社会基盤として透明で公正なルールが不可欠である
(2)教育機会を平等に保障しなければならない
(3)産業戦略とオープン・プラットフォームを作る
(4)電力会社を解体せよ
(5)地域分散ネットワーク型システムに転換する
(6)時間をかけて財政金融の機能を回復する
文献案内
おわりに
ISBN:9784004317692
。出版社:岩波書店
。判型:新書
。ページ数:228ページ
。定価:820円(本体)
。発行年月日:2019年04月
。発売日:2019年04月19日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ。