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スペース・プラン

鳥取の前衛芸術家集団 1968-1977

編著:筒井 宏樹

紙版

内容紹介

ここ数年のアート・コレクティヴ(集団によるアート活動)隆盛のなか、
再発掘された鳥取の前衛集団「スペースプラン」。
1960-70年代に展開された、知られざる活動の詳細を貴重な資料群で紹介し、
日本の現代美術史のもうひとつの展開を追いかける。

スペース・プランは、谷口俊(1929–)、フナイタケヒコ(1942–)、山田健朗(1941–)らによって鳥取で結成された前衛芸術家集団です。1968年11月の檄文から始まる彼らの活動は、単純な色と形に還元された立体物に代表されるミニマリズムに特徴づけられます。彼らは、市民会館や画廊で発表する一方で、湖山池青島や仁風閣前庭など、鳥取市各地で野外展を積極的に試みました。特に第2回展では、鳥取砂丘を舞台にミニマリズムの作品が配置された壮大なスケールの展示を実現しました。当時の地元メディア等では注目を集めていたものの、その活動は鳥取に限定されていたこともあり、全国的に広く紹介されることはありませんでした。ミニマリズムという言わば現代美術のひとつの出発点として生まれた形式が、1960年代後半に鳥取という日本のローカルな地域でどのように展開されたのか。1960~70年代の鳥取の文化状況を踏まえるとともに、若者の叛乱の季節、具体美術協会による野外展、宇部や須磨の野外彫刻展、福嶋敬恭と京都北白川美術村、ミニマリズムからポストミニマリズム等といった歴史的文脈のなかで、その活動を検証していきます。

目次

はじめに
論考│スペース・プランとその時代 筒井宏樹
ステートメント│
1 檄文「脱出計画No.1新しい芸術グループ結成のために」(1968.11.10)
2 SPACE PLAN NO.1
3 SPACE PLAN NO.2
4 船井武彦・計羽孝之2人展
5 SPACE PLAN NO.3 異常空間の提示
6 ’71UNTITLEDEXHIBITION(無題展)
7 「現代美術を語る会」を終えて

図版
第1章 スペース・プラン前夜:1950~60年代の鳥取美術
第2章 1968年:スペースプランの結成と起点としてのミニマリズム
第3章 SPACE PLAN NO.1 空間化計画展
第4章 鳥取砂丘におけるミニマリズムの野外展
第5章 ミニマリズムの追求:「物の姿」および「異常空間」
第6章 第4回展~第8回展:実験的な試み
第7章 第9回展~第13回展:予言する乳母車

スペース・プラン プロフィール

資料
1 鳥取青年美術家集団の歩み
2 鳥取市の文化行政に対する要望と提案
3 北白川美術村にて聞く!
4 新聞資料

用語集
年表
参考文献

著者略歴

編著:筒井 宏樹
つつい・ひろき 1978年愛知県名古屋市生まれ。近現代美術史。東京芸術大学芸術学科卒業。同大学院修士課程修了。愛知県立芸術大学博士後期課程修了。鳥取大学地域学部准教授。著書=『イラストレーター毛利彰の軌跡』(毛利彰の会、2019年)。編著=『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2013年)ほか。共編著=『梅沢和木Re:エターナルフォース画像コア』(CASHI、2018年)ほか。

ISBN:9784908122149
出版社:アートダイバー
判型:A4
ページ数:96ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WF