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事例で学ぶ!事業承継支援完全マニュアル

経営・手続き・後継者の3つの側面

著:岸田 康雄

紙版

内容紹介

事業承継支援は「問題を見つけること」がすべて!!
 事業承継支援では、お客様が抱える問題を正しく定義できれば、半分以上解決できたようなものです。事業承継支援で必要なことは、お客様側の目線で支援を行うことです。
 これまでの支援では、それが出来ていなかったのです。生命保険セールスマン、銀行員、税理士、いずれも支援者側の商品・サービスを販売することを目的とし、取り扱う分野に関連した支援を提案し実行してきました。「事業承継」の専門書も、ほとんどがこの目線で書かれています。
 しかし、お客様側に立てば、解決すべき問題は他にあるのです。事業戦略の見直しが必要なお客様に、遺産分割問題が重要だからと生命保険をすすめる、節税策が必要ないお客様に、融資による株式の買取りスキームが提案するなど、お客様が抱える問題の本質を無視した支援が行われることも多々ありました。これでは事業承継の問題を解決したと言えません。
 あるべき支援者の姿は、お客様が抱える問題を、正確かつ網羅的に把握することです。そして、課題解決にお客様と一緒に取り組むことです。
 本書は、問題検出のため課題を「企業経営・手続き・後継者」の横軸、「親族内・従業員・第三者」の縦軸の「フレームワーク」で整理し、全体像を明らかにしています。
 事例を掲げ、そこからお客様が抱える問題を見つけ出し、何が本質なのかを定義し、解決策を探ります。読者は、事例問題を解くうちに、自然と問題解決力が身につきます。
 弁護士・会計士・税理士・中手企業診断士、銀行・保険会社等、事業承継支援に携わるプロの必読の書籍です。

目次

〇目次

第1章 事業承継支援概論
1.事業承継の支援が求められる3つの側面
2.事業承継フレームワーク
(1)課題のマトリックス
(2)親族内承継の課題
【A-1】親族内承継の知的資産に関する課題
【A-2】親族内承継の事業戦略に関する課題
【A-3】親族内承継の後継者キャリアに関する課題
【A-4】親族内承継の後継者のリーダーシップに関する課題
【A-5】親族内承継の経営管理に関する課題
【A-6】親族内承継の支配権移転に関する課題
【A-7】親族内承継の債務移転に関する課題
(3)従業員承継の課題
【B-1】従業員承継の知的資産に関する課題
【B-2】従業員承継の事業戦略に関する課題
【B-3】従業員承継の後継者キャリアに関する課題
【B-4】従業員承継の後継者のリーダーシップに関する課題
【B-5】従業員承継の経営管理に関する課題
【B-6】従業員承継の支配権移転に関する課題
【B-7】従業員承継の債務移転に関する課題
(4) 第三者承継の問題
【C-1】第三者承継の知的資産に関する課題
【C-2】第三者承継の事業戦略に関する課題
【C-3】第三者承継の後継者キャリアに関する課題
【C-4】第三者承継の後継者のリーダーシップに関する課題
【C-5】第三者承継の経営管理に関する課題
【C-6】第三者承継の支配権移転に関する課題
【C-7】第三者承継の債務移転に関する課題
3.コンサルティング業務の獲得
(1)事業承継支援の専門家は誰か
(2)専門家のセールス活動
(3)顧客との信頼関係を築く方法
(4)顧客に対する質問のテクニック
4.対話による課題発見と支援者の役割
事例
―解説―
 【問1】事業承継の必要性の認識
 【問2】事業承継の進め方
 【問3】様々な支援者
第2章 親族内承継
1.贈与税の納税猶予制度(一般措置)
事例
―解説―
 【問1】事業承継の検討の順番
 【問2】納税猶予制度(一般措置)の内容
2.贈与税の納税猶予制度(特例措置)
事例
―解説-
 【問1】事業承継税制の適用要件
 【問2】納税猶予制度(特例措置)の内容
 【問3】事業承継税制の適用期間
 【問4】「特例承継計画」の書き方
   特例承継計画書式
【問5】後継者へ贈与すべき株式の最低数
 【問6】認定申請書および年次報告書の提出期間
 【問7】事業承継税制適用の取消し
3.事業承継税制の応用論点Q&A
質問1 相続時精算課税制度
質問2 先代経営者以外の第三者からの贈与
質問3 一般措置を適用済み①:残された株式に対する特例措置の適用
質問4 一般措置を適用済み②:株主の追加と特例措置の適用
質問5 一般措置を適用済み③:相続時における特例措置への切り替え
質問6 複数の後継者
質問7 特例承継計画①:特例後継者の増減
質問8 特例承継計画②:特例承継計画書の作成方法
事業承継計画ワークシート
4.相続税の納税猶予制度(計算例)
計算例①非上場株式とその他財産を相続するケース
計算例②非上場株式のみ相続するケース
計算例③非上場株式とその他財産を相続するケース
計算例④非上場株式のみ相続するケース
5.経営承継円滑化法と財産承継対策
事例
―解説―
 【問1】資産保有型会社と資産運用型会社の定義
 【問2】事業承継税制を適用するための事業実態要件
 【問3】株式買取りによる株式承継のメリット・デメリット
6.金融機関からの資金調達
事例
―解説―
 【問1】税務上の退職金の金額
 【問2】承継スキームの提案:純資産が大きく借入金が小さいケース
 【問3】承継スキームの提案:純資産が小さく借入金が大きいケース
7.ファミリー・ビジネスの基本
事例
―解説―
 【問1】支配権確保の難しさ
 【問2】持株会社体制による支配権の安定性
8.コーポレート・ガバナンスと経営革新
事例(大塚家具の例)
―解説―
 【問1】後継者による経営革新
  (参考)新しいビジネスモデルの創造
(参考)事業成長の方向性(アンゾフの成長マトリックス)
 【問2】社債発行による株式の買取りスキームの妥当性
 【問3】日本企業のコーポレート・ガバナンス
 【問4】引退しようとしない経営者
9.経営環境の変化への適応
事例
―解説―
 【問1】経営環境に適合していない事業の承継
 【問2】経営環境に適合しているが継ぎたくない事業の承継
10.少数株主
事例
―解説―
 【問1】少数株主と支配権の分散
 【問2】社長交代における支配権確保
11.事業用資産である土地の承継
事例
―解説―
 【問1】借地権の評価
 【問2】借地権の評価(無償返還届出書の提出)
 【問3】相続時の遺留分の計算
 【問4】小規模宅地等の特例適用(特定同族会社事業用宅地)
12.経営承継と後継者教育
事例
―解説―
 【問1】後継者に求められる能力
 【問2】社内教育をするか、他社への修行に出すか
 【問3】後継者教育のためのキャリア・プラン
 【問4】後継者に教えるべき「社長の仕事」
 【問5】事業承継税制・特例承継計画
 【問6】後継者に求められる経験
13.引退する経営者の気持ち
事例
―解説―
 【問1】社長交代したくない気持ち
 【問2】引退後のライフプラン
第3章 株式評価と事業性評価
1.株式評価の計算例(1)
事例
―解説―
 【問1】会社の規模の判定
 【問2】類似業種比準価額の計算
 【問3】純資産価額の計算
 【問4】1株当たりの評価額の計算
2.株式評価の計算例(2)
事例
―解説―
 【問1】会社規模の判定
 【問2】1株当たりの配当額、利益金額の計算
 【問3】類似業種比準価額の計算
 【問4】1株当たりの評価額の計算
 【問5】持株会社に出資される株式の評価額の計算
3.後継者による事業性評価
事例
―解説―
 【問1】後継者による事業性評価の重要性
【問2】現経営者との対話の必要性
ローカルベンチマーク
知的資産経営報告書
4.事業性評価の進め方
事例
―解説―
 【問1】商流図を描く
 【問2】SWOT分析を行う
 【問3】飲食店の事業性評価
第4章 従業員承継
1.後継者の決意と覚悟
事例
―解説―
 【問1】経営者になるメリット・デメリット
 【問2】経営者になる前に検討すべき課題
2.過大な債務
事例
―解説―
 【問1】債務の承継と放棄
第5章 第三者売却
1.競争入札と株式価値評価
事例
―解説―
 【問1】買い手候補先の選定
 【問2】M&A仲介業者の業務委託契約の問題点
 【問3】M&A仲介業者方式による株価の計算
 【問4】買い手から提示される株価
 【問5】売り手の利益を犠牲にするM&A仲介業者
2.取引スキームの選択
事例
―解説―
 【問1】株式譲渡と事業譲渡の相違点
 【問2】売り手が事業譲渡を選好する理由
 【問3】買い手が事業譲渡を選好する理由
(参考)M&A後に残された法人に対する事業承継税制の適用
3.従業員と第三者の選択
事例
―解説―
 【問1】従業員承継の検討課題
 【問2】従業員承継を断念すべき場合の対応
 【問3】M&Aで売却価格最大化するための戦術
4.M&A売却の準備
事例
―解説―
 【問1】株式価値の計算方法
 【問2】DCF方式における将来キャッシュ・フローの評価
 【問3】M&A仲介業者方式による計算方法
 【問4】株式譲渡に係る税金と手取額
 【問5】退職金に係る税金と手取額
 【問6】買い手候補に対するアプローチ方法
5.M&A売却の競争入札
事例
―解説ー
 【問1】初期的な提案書(会社概要書)の作成
 【問2】対象事業の情報開示(インフォーメーション・メモランダム)
 【問3】事業計画書の作成方法
 【問4】買い手候補の選考プロセス
 【問5】意向表明書の記載事項
 【問6】希望売却価格の提示
 【問7】売り手の価格交渉力とは
 【問7】買い手候補が1社の場合の売却価格
6.M&Aの応用論点Q&A
質問1 譲渡スキーム
質問2 アーン・アウト
質問3 基本合意
質問4 条件交渉
質問5 責任の限定
質問6 クロージング前提条件

著者略歴

著:岸田 康雄
岸田 康雄 (きしだ やすお)
事業承継コンサルティング株式会社 代表取締役
島津会計税理士法人東京事務所長
国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、一橋大学大学院商学研究科修了。 中央青山監査法人(PwC)にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、メリルリンチ日本証券、SMBC日興証券、みずほ証券にて、相続対策からM&Aまで幅広い組織再編と事業承継をアドバイスした。 現在、相続税申告業務、相続・事業承継コンサルティング業務を行っている。日本公認会計士協会中小企業施策調査会「事業承継支援専門部会」委員。経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン」改訂小委員会委員、東京都中小企業診断士協会中央支部「事業承継支援研究会」代表幹事。
著書には、「専門家のための事業承継入門」(共著・ロギカ書房)「事業承継ガイドライン完全解説」(ロギカ書房)、「プライベート・バンキングの基本技術」(清文社)、「資産タイプ別相続生前対策完全ガイド」(中央経済社)などがある。

ISBN:9784909090218
出版社:ロギカ書房
判型:B5
ページ数:344ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年02月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ