冥顕の哲学 2 いま日本から興す哲学
著:末木 文美士
紙版
内容紹介
人の間の倫理の領域〈顕〉に対して、不可知の霧に包まれた〈冥〉という場所、そこには他者、死者そして神仏が息づく。日本の中世思想に由来する「冥顕」の構造をもって、現代の哲学的・思想的な閉塞状況に立ち向かう。
中世以降の日本の伝統思想を踏まえ、近代の西洋との出会いと確執の痕跡を掘り起こして、単なる追随ではなく、また独善にも陥らない新たな思考の可能性を探る。「死の哲学」と「菩薩の倫理学」を、ポスト近代の思想史に位置づけるために。
目次
目 次
序 章 伝統思想から哲学へ
Ⅰ 日本から哲学する
第一章 日本発の哲学││その可能性をめぐって
第二章 批判的思惟の有効性││マルクス主義と日本思想史
第三章 比較思想という視座
第四章 公共性と他者││日本思想の立場から
Ⅱ 近代日本哲学と仏教││批判的考察
第五章 仏教の非宗教的理解││和辻哲郎
第六章 ファシズム/ニヒリズム/日本││西谷啓治批判序説
第七章 科学/国家/道元││橋田邦彦と『正法眼蔵』
第八章 禅から井筒哲学を考える
第九章 社会性から宗教へ││今村仁司の清沢満之論
Ⅲ 脱近代に抗して
第十章 国家/宗教/倫理││脱近代の中で
終 章 果てしなき螺旋の途上にて