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岩波現代文庫 学術387

『碧巌録』を読む

著:末木 文美士

紙版

目次

第一講 禅の根本問題
 1 『碧巌録』というテキスト
  『碧巌録』とは
  岩波文庫新版の意義
  各則の構成
 2 達磨,武帝をやりこめる(第一則)
  垂示
  本則
  頌
  著語
  評唱
 3 「無」の世界
  趙州の「無」
  「無」の変質
  禅の言葉

第二講 禅の言語論
 1 言語における意味の剝奪
  記号論からの接近
  二元論の解体
 2 趙州の最高の道(第二則)
  垂示
  本則
  著語
  頌
 3 言語をめぐる問答
  「至道無難」の展開(第五七,五八,五九則)
  咽喉と口とをふさいでどう言うか(第七〇,七一,七二則)
  維摩の一黙(第八四則)
 4 道元の言語論

第三講 禅の存在論
 1 言語と存在
  言語論から存在論へ
  鈴木大拙説の検討
  上田閑照説の検討
  井筒俊彦説の検討
 2 露呈する世界
  展覧会場の便器
  庭前の柏樹
  秋風の中,まる裸(第二七則)
  麻三斤(第一二則)
  私とは誰か(第七則)
 3 馬大師の病気(第三則)
  垂示
  本則
  著語
  評唱
  頌
 4 解体する世界と「私」
  世界の終末(第二九則)
  寒暑なきところ(第四三則)
  坐禅はどう位置づけられるか

第四講 禅の人間論
 1 禅における主体と自由
  私こそ仏だ
  無位の真人
  大雄峰に坐る(第二六則)
  俱胝が指を立てる(第一九則)
 2 禅における他者
  他者はいかにして成り立つか
  卵がうまく孵るには(第一六則)
 3 潙山と徳山の果たし合い(第四則)
  垂示
  本則・著語
  頌
 4 対他性と倫理
  南泉,猫を斬る(第六三,六四則)
  殺生は許されるか――道元の批判
  結び
 5 質疑応答
  禅の言葉
  二元論は超えられるか
  倫理の問題
  禅語録の読み方

補講 改めて『碧巌録』を読む
  研究状況の進展
  圜悟と公案の言葉
  雪竇と趙州――禅の言葉の取り上げ方
  『碧巌録』と死者の問題――田辺元による第五五則解釈

付 録
 1 『碧巌録』全一〇〇則標題・登場人物一覧
 2 現代語訳で読める禅語録

 あとがき
 岩波現代文庫版あとがき

著者略歴

著:末木 文美士
末木文美士(すえき ふみひこ)
1949年生まれ.東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学.現在,東京大学名誉教授,国際日本文化センター名誉教授.仏教学・日本思想史専攻.著書に,『碧巌録』全3冊(共訳注,岩波文庫)『現代語訳碧巌録』全3冊(共編著,岩波書店)『日本宗教史』(岩波新書)『日本仏教入門』(角川選書)『日本思想史の射程』(敬文舎)『思想としての近代仏教』(中公選書)ほか.

ISBN:9784006003876
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:1140円(本体)
発行年月日:2018年08月
発売日:2018年08月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB