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最高の授業

スパイダー討論が教室を変える

著:Alexis WIGGINS
訳:吉田 新一郎

紙版

内容紹介

本書は『The Best Class You Never Taught(あなたがこれまでに教えたことのない最高の授業)』の全訳です。「最高の授業」には一つの形があります。それは、テキストの内容や「鍵となる問い」を探究する生徒の主体的な話し合いによって実現します。いま流行りの言い方をすれば、「主体的かつ対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」ということになるでしょう。そのような授業では、教師の役割は主役から観察者やコーチへと転換し、生徒たちは
* クリティカルに思考し、
* 協働してさまざまなことを運び、
* 全員が完全に参加し、
* 理にかなった行動をし、
* 高い思考レベルの問いかけをし、そして答え、
* 自分の考えを、証拠をもって裏付けし、
* 自分たちのしたことを評価し、していることを修正・改善し続けます。
 こんな夢のような授業を教師が実現できる極めてシンプルな方法があるのです! 本書ではそれを「Spider Web Discussion」と名づけています。邦訳では「スパイダー討論」としました。この名称は、討論に積極的に参加する生徒たちの様子を観察者(=教師)が記録した「クモの巣図」(図版参照)から来ています。この討論によって、互いの学びを導きあい、サポートしあい、最終的には生徒たち自身の手で学びのコミュニティがつくり出されます。
 スパイダー討論は、すべての教科と年代に使えることが証明されています。必要とされるのは、簡単な手順と達成目標と紙と鉛筆だけです。生徒たちは、スパイダー討論の実践を積むに従ってコミュニケーション・スキルが向上し、クラスメイトに対してより共感的になり、より良い問題解決者になり、自立した学び手になっていきます。これらのスキルはあらゆる職場でも求められているものですから、生徒たちの短期的なニーズだけでなく、長期的なニーズまで満たすことになります。本書では、このスパイダー討論を実践するための分かりやすい手順が詳しく紹介されています。(よしだ・しんいちろう)

目次

はじめに ⅰ

第1章 なぜ、スパイダー討論の経験者が必要なのか? 3

訳者コラム アクション・リサーチ 7
▪スパイダー討論の歴史 11
ハークネス・メソッドの由来 11
ハークネス・メソッドからスパイダー討論へ 17
▪研究が明らかにしてくれていること 20
訳者コラム 各州共通基礎スタンダード 25
訳者コラム 逆さまにデザイン 26
▪実施上の配慮点 27
実践者の声 エリック・マズィヨー教授 30
▪覚えておくべき重要なポイント 32

第2章 スパイダー討論をはじめる 33

▪スパイダー討論の初日 36
ルーブリック(評価基準表)をつくる 36
はじめる前と話し合いにおける教師の役割はファシリテーター 48
話し合いのあとの振り返り 56
▪研究が明らかにしてくれていること 64
▪実施上の配慮点 72
▪発展した応用の可能性 74
実践者の声 リアム・トリム先生 82
▪覚えておくべき重要なポイント 84

第3章 スパイダー討論における最初の数週間 87

▪最初の数週間にすること 98
訳者コラム ほとんど誰も話さない 99
▪研究が明らかにしてくれていること 104
訳者コラム 国際バカロレア 114
▪実施上の配慮点 115
①高校のIB自然科学系(理科)の授業 116
②中学校の国語 119
③小学二年生の社会科 124
④高校の数学(統計)のコース 126
▪発展した応用の可能性 133
実践者の声 ネリー・ブリッジ先生 136
▪覚えておくべき重要なポイント 139

第4章 初期の段階でよく起こる問題
――恥ずかしがり屋とスーパースター(話したがり屋) 141

▪研究が明らかにしてくれていること 165
▪実施上の配慮点 169
▪発展した応用の可能性 178
体験者の声 アリ・アルアニ 186
▪覚えておくべき重要なポイント 187

第5章 次に訪れるつまづき――あのとても難しいクラス! 191

▪研究が明らかにしてくれていること 204
▪実施上の配慮点 213
▪発展した応用の可能性――スパイダー討論の役割 217
実践者の声 ベス・ディジティス先生 221
▪覚えておくべき重要なポイント 225

第6章 評価は手段! 武器ではない 229

▪研究が明らかにしてくれていること 252
▪実施上の配慮点 255
▪発展した応用の可能性 258
実践者の声 キム・マクニー先生 264
▪覚えておくべき重要なポイント 266

第7章 スパイダー討論がもたらすもの 269

▪より良い評価のデータ 275
▪宿題をしっかりやってくる割合の増加 278
▪倫理的で安心できるクラス環境の構築 281
▪生徒の自立性の向上 286
▪より公平な発言の機会 289
▪研究が明らかにしてくれていること 296
▪実施上の配慮点 301
▪発展した応用の可能性 306
実践者の声 レイアン・アミーン先生 308
▪覚えておくべき重要なポイント 311

第8章 先を見据えて――年間を通してスパイダー討論をする 313

▪スパイダー討論を年間通して実践する 316
▪実施上の配慮点 321
▪発展した応用の可能性 322
実践者の声 クリスタル・ヴァン・クリーフ先生 324
▪覚えておくべき重要なポイント 326

訳者あとがき――日本での実践を紹介 329
訳注および訳者コラムで紹介した本の一覧 340
参考文献一覧 344

著者略歴

訳:吉田 新一郎
ラーンズケイプ代表

ISBN:9784794810939
出版社:新評論
判型:4-6
ページ数:360ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2018年05月
発売日:2018年05月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN