出版社を探す

完全版 土地 04

著:朴景利
監:金 正出
訳:吉川 凪

紙版

内容紹介

崔参判家の実権を握った趙俊九は、法外な小作料を取り立てるなど、その横暴さは目に余るものとなった。日露戦争に勝利した日本が朝鮮の主権を侵食し、日本の有力者につながる俊九の勢いは増すばかりだ。
崔参判家の跡取り娘の西姫は、俊九に反撃できない鬱憤から吉祥、鳳順にしばしば八つ当たりする。
鳳順は吉祥への思いを募らせるが、吉祥はその思いを受け入れられない。幼い頃から固い絆で結ばれていた三人の間には、微妙な亀裂が広がる。
祖国存亡の危機に重なる西姫の窮状に、彼女を支えてきた人たちは俊九に反旗を翻した。追われる身となった彼らと共に、西姫は新天地を目指す覚悟を決める。

目次

第一部 第四篇 疫病と凶作
十六章 情が多過ぎても狂うのだろうか
十七章 愚かな反骨と邪悪な理性
十八章 蟷螂の斧だと言っていたけれど
十九章 酒宴の風景
二十章 旅立つ人々

第一部 第五篇 去る者、残る者
一章 黄泉の三途の川
二章 花靴
三章 脚の取れたたんす
四章 乱行
五章 過客
六章 乙巳保護条約
七章 日陰に差す日光
八章 春の草と冬の木
九章 乞食が伝えた言葉
十章 往年の東学将軍
十一章 対面
十二章 あばら屋の歌い手
十三章 夜に泣く女
十四章 帰ってきた潤保
十五章 義挙
十六章 悪は悪を忌避する
十七章 かすかな希望がぶらんこに乗る
十八章 故国の山河を捨てる人たち

訳注
イラスト図版
崔参判邸の見取り図
訳者解説
監修、訳者略歴

著者略歴

著:朴景利
<著者:朴景利>
1926年、慶尚南道統営市生まれ。
晋州高等女学校、ソウル家庭保育師範学校(世宗大学の前身)卒。
1955年に短編小説「計算」でデビュー、1957年に短編「不信時代」で 『現代文学』新人賞受賞。以後、次々と長編作品を発表し、各種文学賞を受賞して実力派の作家としての地位を確かなものにすると同時に、韓国の女性作家の草分け的存在となった。
1969年から25年間にわたって書き継がれた大河小説『土地』は代表作であり、韓国現代文学における最も優れた作品の一つと評される。また「国民文学」として韓国で愛されてきたベストセラー小説でもある。
1994年に『土地』が完結した後も小説、詩、エッセイを書き続けた。晩年には環境問題に関心を深め、江原道原州の自宅菜園で有機栽培などしながら、意欲的に執筆を続けた。2008年没。享年81歳。
監:金 正出
<監修:金正出>
1946年青森県生まれ。1970年北海道大学医学部卒業。
現在、美野里病院(茨城県小美玉市)院長。医療法人社団「正信会」理事長、社会福祉法人「青丘」理事長、青丘学院つくば中学校・高等学校理事長も務める。
訳書に『夢と挑戦』(彩流社)などがある。
訳:吉川 凪
<訳者:吉川 凪>
大阪生まれ。新聞社勤務の後、韓国に留学。仁荷大学博士課程修了。文学博士。
著書『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ』、訳書『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、『都市は何によってできているのか』、『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう』、『アンダー、サンダー、テンダー』、『殺人者の記憶法』など。

ISBN:9784904855447
出版社:クオン
判型:4-6
ページ数:460ページ
価格:2800円(本体)
発行年月日:2017年11月
発売日:2017年11月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB