講談社選書メチエ
異端カタリ派の歴史 十一世紀から十四世紀にいたる信仰、十字軍、審問
著:ミシェル・ロクベール
訳:武藤 剛史
内容紹介
もともとは東欧発祥の宗教運動が、11世紀に西ヨーロッパで顕在化して、12世紀にはカタリ派の名の下で南仏ラングドックでおおきく展開されるようになりました。
現存しないためその教義などは謎に包まれていますが、二元論的であり、現世を悪とみなすグノーシスの影響を受けているとも言われています。
本書は、その異端宗教運動の11~14世紀の歴史、すなわち南仏での誕生・発展から異端認定を経て、迫害・殲滅されるまでの歴史を描きます。歴史の後半では、ローマ教会によるアルビジョワ十字軍と異端審問が大きなテーマとなります。南仏アルビ地方で展開された、もうひとつの十字軍のおぞましい実態も明らかにされます。
本書はまた、南仏のラングドックが、十字軍侵攻をきっかけに、だんだんとカペー朝フランス王国に併合されていく過程も描いています。
知られざる異端の経験した恐るべき歴史をあきらかにする、カタリ派研究の第一人者による最良の訳書がついに登場します。
目次
訳者まえがき
序 カタリ派、十字軍、異端審問
第一部 二元論的異端の勃興
第一章 ボゴミル派からカタリ派へ
第二章 カタリ派社会とその教会
第三章 イノケンティウス三世――前代未聞の十字軍
第二部 十字軍
第四章 シモン・ド・モンフォールあるいは電撃戦争
第五章 城争奪戦
第六章 トゥールーズの孤立
第七章 アラゴン王ペドロ二世――勇み足
第八章 レモン六世の失脚
第九章 オクシタン奪還
第十章 王の十字軍
第三部 異端審問
第十一章 異端審問の誕生
第十二章 迫害と抵抗
第十三章 アヴィニョネの大虐殺
第十四章 モンセギュールの最後
第十五章 フェレールからベルナール・ド・コーへ
第十六章 伯爵、異端審問局、そして司教たち
第十七章 モンセギュール以後、各地の様子
第十八章 亡命の時代
第十九章 反乱と陰謀の時代
第二十章 最後の「良き人」たち、最後の火刑
原注
索引