近くても遠い場所
一八五〇年から二〇〇〇年のニッポンへ
著:木下 直之
内容紹介
戦前に町の中にあった戦争の英雄・軍人像が戦後は平和を祈る裸体像に変わった。戦後に多く作られた動物園は、いまや財政難で、おいそれと野生のゾウを購入できない。多くの祭りは神輿を担いで盛り上がるが、江戸では仮装行列をして練り歩いた。
隣にあってしかるべきだと思っていたものは、常に刻々と変化している。
見世物、絵馬堂、美術館、動物園、お城、戦争……著者は見慣れた風景の中に、見落としてきたものを見つけ、新たな意味や価値を発見する。およそ150年の日本社会の変遷を、風景から掘り起こす歴史エッセイ。
目次
近くに行きたい
一 近くても遠い場所
近くて遠い旅
ある死刑囚の絵
二 ひょんなことから 一八五〇〜 一九五〇年代ニッポンへの旅
ふたつの星条旗の間で 一八五三~一九四五年
真っ平ごめん 一八五五年
ただの人とただではない人 一八六〇年
人間普通の権義 一八七二年
なりふりかまって 一八八八年
人形を超えるもの 一八九五年
板と泥 一九〇〇年
共楽と集古 一九一〇年
バラック御殿と無縁寺回向院 一九二三年
皇帝溥儀の東京見物 一九三五年
防空都市と焼け野原 一九四五年
ちょっと飛びこむ美術館 一九五二年
三 ひょんなことから 一八五〇〜 一九五〇年代ニッポンへの旅のつづき
開港場横浜の祭礼 一八六〇年
古都鎌倉異こと案内 一八七〇年
前田侯爵家の西洋館 ――天皇を迎える邸、一九一〇年
トランプのジャックと人間の服を着たチンパンジーの間で 一八五三~一九四五年
四 見世物小屋にて
いま見世物を見ることについて
仏像を拝まなくていいの?
こんぴら賛江
一揮千紙快筆の画家 ――河鍋暁斎の人と作品
圬を使う者 ――伊豆の長八
戦争と見世物
五 靖国神社にて
戦争博物館のはじまり
戦争に酔う国民 ――日清戦争と日本人
先の戦争の中の先の戦争の記憶 ――戦利品はどこへ消えた
死者がよみがえる場所
あとがき
ISBN:9784794969347
。出版社:晶文社
。判型:A5
。ページ数:336ページ
。定価:2500円(本体)
。発行年月日:2016年09月
。発売日:2016年09月26日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AGA。