ブラックホール
アイデアの誕生から観測へ
著:マーシャ・バトゥーシャク
訳:山田 陽志郎
内容紹介
17世紀以降の古典力学の時代にも現代の「ブラックホール」につながるアイデアは考え出されたが、当時の天文学の範疇では、ありえない天体または天文現象として考慮されることはなかった。20世紀に入っても、アインシュタインの一般相対性理論の解として「ブラックホール」の可能性が考えられたが、恒星など現実の天体ではありえないものとして拒絶された。20世紀後半になって、天体の重力崩壊現象が「ブラックホール」と名づけられたときも、まだそれを確かめる観測手段はなかったが、同時期にパルサー(中性子星)、クエーサーなどの天体が発見され、その後、エックス線天体が見つかりその膨大なエネルギーを賄う機構として「ブラックホール」が現実の天体として検討されるようになった。21世紀の現在、ブラックホールの衝突合体による重力波が驚くべき精度で実際に観測され、見えない天体「ブラックホール」の直接的証拠が提示され、ブラックホールは実在する天体としての地位を得た。本書は、それらの歴史的流れを作り出した物理学者、天文学者を中心に、多くのエピソードを紹介しながらブラックホール受容の変遷を辿っている。
目次
第1章 宇宙で最大級に明るい天体が見えなくなる理由
ニュートン、ミッチェル、ラプラス
第2章 ニュートンよ、許したまえ
アインシュタイン
第3章 気が付けば、幾何学の国に
シュヴァルツシルト
第4章 恒星がこれほど非常識な振る舞いをするはずがない。何か自然の法則があるはず!
チャンドラセカール、エディントン
第5章 厄介者登場
バーデ、ツヴィッキー
第6章 重力場だけが存続
ランダウ、オッペンハイマー
第7章 物理学者になって最高でした
ホイーラー、ゼルドヴィッチ、ペンローズ
第8章 こんな奇妙なスペクトルは見たことがない
シュミット
第9章 ブラックホールって呼べば?
カー
第10章 中世の拷問台
ホイーラー
第11章 スティーヴン・ホーキングは一般相対論やブラックホールに多額の投資をする一方で、保険をかけることも忘れていなかった
ホーキング、ソーン
第12章 ブラックホールはそれほど黒くない
ホーキング
ISBN:9784805209011
。出版社:地人書館
。判型:4-6
。ページ数:288ページ
。定価:2600円(本体)
。発行年月日:2016年07月
。発売日:2016年07月19日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PGK。