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平凡社新書 806

中高年がキレる理由(わけ)

著:榎本 博明

紙版

内容紹介

公共の場で突然キレる中高年(男性)が増えたのはなぜか? 実例を示し、行動の背後に潜む心理、社会的背景、対処法などを考える。

目次

はじめに
自分のなかで、うごめく何か
魔がさす瞬間
一見、忙しく充実した仕事生活のなかで……

第1章 キレやすい中高年
駅員や乗務員にキレる
待合室や窓口で待たされてキレる
コンビニの順番待ちでキレる
注文した品が出てくるのが遅いとキレる
ノロノロしている人にキレる
学校に理不尽な要求を突きつける
思い通りにならないのは当然
日頃は分別のある大人が……、ここが問題
感情労働社会の反動も

第2章 つまずきやすい人生の折り返し点
中年期の行き詰まり
過渡期の危うさ
仕事面の変化による危機
糸井重里が語る「40歳問題」
家族面の変化による危機
自分自身の生物学的・生理学的な危機
人生半ばの転換期
生活の枠組みそのものを見直す時期
心の声が聞こえるようになる
抑圧していたものが、内面から込み上げてくる
第3章 「こんなはずじゃなかった」という思いの数々
安易に、仕事を自己実現に結びつけようとする風潮への反発
「こんなはずじゃなかった」という痛切な思い
世の中が、ことごとく自分たちの世代に不利な方向に進む
価値観の大転換を迫られる
部下のメンタル面にまで気を遣わなければならないなんて
若い世代のように権利の行使をしにくい
「そんなのもう古いっすよ」と言う若手
「見下され不安」が生む攻撃性
感情労働により疲弊する
ネット社会の解放感のないストレス

第4章 衝動と不安のもつ意味
衝動的行動の意味
中年期の抵抗
衝動に身を任せる
二重人格の症例が示唆するもの
生きてこなかった「もうひとりの自分」
心のなかの異性的なもの
淋しい人生になってきたと気づくとき
中年期におけるアイデンティティの問い直し
時代に取り残される不安
成熟より若さに価値を置く、いまの日本社会
「若さ」と「老い」の葛藤
中高年男性の自殺の多さ

第5章 家庭でも報われていない
家庭における疎外
夫の帰宅恐怖症候群と、妻の主人在宅ストレス症候群
稼ぎ手としての自分の役割を正当に評価してもらえない、理不尽
夫婦の関心の幅や方向性に大きな違い
戸惑う家庭の男たち
中高年夫婦のスレ違い
中高年女性の家族意識の稀薄化
従来の男らしさの否定への戸惑い

第6章 キレない心のつくり方
役割に徹する
ひと呼吸置く
怒りを鎮めるセルフトーク
価値観を棚上げする
ネガティブな思いの反芻グセを直す
ネガティブな出来事や状況の意味づけ
ストレスコーピングの実践
若い頃の生き方からの転換の必要性
成熟の価値に気づくこと

あとがき

著者略歴

著:榎本 博明
1955年東京生まれ。東京大学教育学部教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などを経て、現在、MP人間科学研究所代表、産業能率大学兼任講師。おもな著書に『〈ほんとうの自分〉のつくり方』(講談社現代新書)、『「やりたい仕事」病』(日経プレミアシリーズ)、『「おもてなし」という残酷社会』『自己実現という罠』『教育現場は困ってる』(以上、平凡社新書)などがある。

ISBN:9784582858068
出版社:平凡社
判型:新書
ページ数:200ページ
定価:760円(本体)
発行年月日:2016年03月
発売日:2016年03月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP