労働社会の変容と格差・排除
平等と包摂をめざして
編著:櫻井 純理
編著:江口 友朗
編著:吉田 誠
内容紹介
労働社会の「格差と排除」の実態の追究
目次
刊行にあたって(有賀郁敏)
序 章 「格差と排除」を生む雇用・労働のあり方を問う(櫻井純理)
——本書の主旨と概要
1 労働のあり方を問うことの重要性
2 所得格差の増大と雇用の非正規化
3 ワーキングプアの顕在化
4 社会的排除:社会における紐帯の喪失
5 本書の構成
第1章 格差社会と階級理論(木田融男)
——批判的実在論を通して
1 現代社会と階級理論
2 格差社会論と階級理論
3 批判的実在論と階級理論
第2章 労働・福祉を巡る制度アプローチの開発途上国への分析射程(江口友朗)
——タイでの私的な相互援助の実態を交えて
1 途上国の社会経済システム分析と制度の経済アプローチ
2 制度のもとでの多様なアクターやアクター間での関係性を分析する必要性
3 タイでの労働・福祉:所得再分配の家計レベルでの実態・効果に焦点をあてて
4 途上国の福祉・労働を巡る制度アプローチの精緻化・分析の深化に向けて
第3章 新自由主義のもとで変化する日本の労働市場(篠田武司・櫻井純理)
——持続可能な社会への展望
1 はじめに:ポスト・フォーディズムの蓄積体制
2 EUにおける労働市場政策の変化
3 フレキシキュリティ(Flexicurity)政策へ
4 韓国・日本における対応
5 日本における非正規雇用者の不利
6 正規雇用者の受難
7 処方箋としての「ジョブ型正社員」
8 持続可能な社会への展望
第4章 1949年人員整理後の日産における臨時工活用の本格化(吉田 誠)
——労使関係の枠組みと賃金格差の考察
1 戦後的な平等観と臨時工
2 無協約時代の労使関係
3 組合における「臨時工」の認知とその対応
4 本工と臨時工の賃金制度の比較
5 賃金額の比較
6 賃金の比較に関するまとめ
第5章 就労から排除される障害児の母親(小木曽由佳)
——「労働」と「福祉」からの二重の疎外
1 障害児の母親の就労をめぐる今日の状況:その意義と限界
2 福祉政策における「支援者としての母親」像の陥穽
3 労働政策に見る障害児の母親の排除
4 まとめと今後の課題:ケア責任の重い労働者のWLBを達成していくために
第6章 過労死・過労自殺問題に直面する韓国(カンミンジョン)
——社会的支援システムの韓日比較
1 過労死、過労自殺に対する社会的支援システムとは
2 日本の社会的支援システム:支援者に対する調査の分析
3 韓国の社会的支援システム:支援者に対する調査の分析
4 韓日比較から見る過労死および過労自殺対策への提言
第7章 移民のホスト社会への包摂と母国とのつながり(玉置えみ)
——アジア系アメリカ移民における海外送金に注目して
1 海外送金と移民の社会適応
2 データと分析方法
3 分析結果:アジア系移民の海外送金
4 考察:移民の適応と母国とのつながり
第8章 福祉国家の変容と脱商品化・再商品化(嶋内 健)
——デンマークにおけるアクティベーション政策と休暇制度に着目して
1 20世紀末以降のデンマーク福祉国家の変容
2 アクティベーション政策の展開:1970年代から2010年代まで
3 休暇制度とジョブ・ローテーション
4 四つのアプローチと脱商品化・再商品化
5 生産指向の普遍主義は超えられるか
第9章 国際社会政策の誕生とフランス労働総同盟(深澤 敦)
1 国際社会政策の実現と日本の遅れ
2 「講和条約の中に挿入すべき労働者諸条項」というスローガンの提起
3 CGT少数派の反撃と「労働者諸条項」戦略の体系化
4 「労働者諸条項」戦略の国際化とILOの創設
あとがきと謝辞
索 引
ISBN:9784623074990
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:264ページ
。定価:5500円(本体)
。発行年月日:2015年12月
。発売日:2015年12月20日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF。