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カリフォルニア先住民の歴史

「見えざる民」から「連邦承認部族」へ

著:野口 久美子

紙版

内容紹介

アメリカ先住民史上「最も過酷な運命」を辿ったとされる
カリフォルニア州の先住民部族の一つ、トュールリヴァー部族の部族史。

カリフォルニアの先住民は、連邦政府との条約締結の失敗、
土地基盤の喪失、急激な人口減少(19 世紀初頭に経験した伝染病、
戦争、ゴールドラッシュ、強制移住の影響)、都市化とアイデンティティの
周縁化によってアメリカ社会の中で不可視化され、1930 年に連邦承認を
受けるまで、まさに法的、政治的に「見えざる部族」であった。
 本書はスペインとの接触以前におけるカリフォルニア先住民社会を起点とし、
連邦部族承認を受けた1930 年代のトュールリヴァー部族社会を終点として、
スペイン、メキシコ、アメリカ時代における同部族の経験を時系列的に描く。

 元来「文字」を持たないトュールリヴァー部族の人々の歴史を復元すべく、
文書資料(史料)に加え、部族の構成員とその子孫による「記憶」と「語り」を
用いることにより、公文書の中で歴史を「失った」部族の歴史記述に
新たな可能性を開いた労作。

目次

はじめに──先住民と部族主義
第一章 アメリカ先住民史理論
第二章  「部族」に関する考察
 第一節 アメリカ先住民の外部規定
 第二節 ヨクートとその社会
第三章 ヨクートとヨーロッパ諸国
 第一節 スペイン時代
 第二節 メキシコ時代
 第三節 アメリカ時代
第四章  「見えざる部族」と保留地アイデンティティの構築
 第一節 トュールリヴァー・ファームと先住民社会
 第二節 トュールリヴァー・ファームと先住民社会
 第二節 トュールリヴァー保留地と先住民社会
第五章 トュールリヴァー保留地における同化政策
 第一節 カリフォルニア先住民と同化政策
 第二節 同化政策期における保留地社会と
部族アイデンティティの変容
第六章  「見えざる部族」から連邦承認部族へ
 第一節 同化政策の失敗
 第二節 トュールリヴァー保留地と再組織法
おわりに
あとがき
註╱索引

著者略歴

著:野口 久美子
明治学院大学教員。

ISBN:9784779121500
出版社:彩流社
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2015年08月
発売日:2015年08月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF