声
千年先に届くほどに
著:姜 信子
紙版
内容紹介
いのちを燃やすための〈声〉は、いまどこに響いているのだろう。国境を越え、言葉の壁を越え、生死の境をも越えて、ほんとうのいのちの歌を探した漂泊の記録。さて、どうやって生きたものやら? 声に聴け、歌を拾え!
日常を埋め尽くしている電子音の海を離れて、耳を澄ましてみよう。そこには、戦災から立ち上がろうとする人びとの営みを包んだ、昭和の心の歌があり、人間の世界を呪う、ミナマタの野生の祈りがあり、底知れない生存の深みを伝える、ハンセン病詩人の声がある。いのちの輝きにあふれた南島のおばあや、異郷に生きる歌人たちと一緒に歌ってごらん、踊ってごらん。
死と沈黙の領土を超えて、千年先まで届く、声の祈りをいま……。
目次
目 次
プロローグ 声の旅人 旅する声
語りえぬ命の記憶のために 旅のはじまり
──ミナマタからハンセンへ── 生き抜く力
声が失われる 死者たちに
はるかな歌 名前を返せ
鬼の唄 歌の旅人
母を想えば 長い旅
私は顔の巡礼 エピローグ 声の祈り