消えた伝説のサル ベンツ
著:緑 慎也
内容紹介
高崎山の永遠のヒーロー、ベンツ。
波乱万丈の生き様に迫るノンフィクション!
大分県大分市高崎山に生息した野生のニホンザル、「ベンツ」。数々の武勇伝によって、揺るぎないスーパースターの座を築き上げた伝説のオスザルとして知られているベンツの知られざるドラマチックな生涯と魅力を、さまざまな関係者の証言から浮き彫りにした異色のノンフィクションです。
2014年12月刊の児童書『高崎山のベンツ』(江口絵理著・ポプラ社)に続くベンツ関連書籍第二弾となりますが、大人の読者に向けて、ベンツが登場した背景や高崎山の歴史、ニホンザルの生態などにもさらに深く言及し、読み応えたっぷりの一冊となっています。
著者プロフィール
緑慎也(みどり・しんや)
1976年大阪府生まれ。出版社勤務後、月刊誌記者を経てフリーに。科学技術、ノンフィクションを中心に取材・執筆をおこなっている。共著に『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(講談社)がある。
目次
序章 ――幻のサルを追って
Ⅰ 高崎山のベンツ
サルの魅力を伝える人たち
美しく荒々しいサル
すべてが別格だった
Ⅱ 最年少のボス就任
サルたちの観察記録
見えてきたサルの社会
家系図からわかってくるもの
ベンツが早く出世できた理由
恋愛で失ったボスの座
Ⅲ 友情と裏切り
マウンティングが持つ意味
庇護者サイジョー
ふたたび上位へ
順位に対するこだわり
思いがけない裏切り
ゾロ・ベンツ体制の誕生
Ⅳ 群れを守る
高崎山と私
入園者数の減少
母系社会で育ったベンツ
子ザル全員を守るオスザル
仲間のために闘う
Ⅴ 武闘派の台頭
対立する二つの群れ
群れの抗争とベンツ
弱体化するA群
新猿類ボスの時代
最も巨大な群れの崩壊
Ⅵ 出生の謎
ベンツの母親は誰なのか
ベンツは孤児だった?
サルへの餌付けの歴史
人口の増加が社会を変える
餌付けによって攻撃的に
餌付けは何をもたらしたのか
寄せ場は都市である
エサの減量でサルを守る
日本独自の野猿公苑
大分市役所の取り組み
高崎山の裏の顔
Ⅶ 失踪と捜索
二度目の頂点
ハトムギ事件勃発
突然の失踪
市街地での目撃情報
保護されたベンツ
群れへの復帰
ベンツの最後の日々
高崎山の永遠のヒーロー
終章 ――なぜベンツは人々を惹きつけるのか
あとがき
年表 ベンツの経歴