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電力改革と脱原発

著:熊本 一規

紙版

内容紹介

政府の「エネルギー基本計画」は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけるが、原発がなくても電気は足りるし、原発は高コスト、かつ「ベースロード電源」の要件を満たせない失格電源である。
そのうえ、電力改革に伴い、発電事業が自由化されるため、原発は淘汰されていく。同時に、小売事業も自由化されるため、消費者は不買運動で原発企業を潰せるようになる。
また国は、放射能で汚染された廃棄物の規制を大幅に緩和し、通常廃棄物と同様に処理・リサイクルを行なえるようにして、汚染を全国に拡散させている。しかし、こうした国の原発企業救済策も電力改革後には不可能になる。
本書は、政府のまやかしの論理を理論的・実証的に論破し、脱原発・脱汚染こそが未来のエネルギー・環境政策の基本であることを立証する。

目次

はじめに
第1章 エネルギー基本計画を批判する
1 原発は「重要なベースロード電源」
2 ベースロード電源とベストミックス論
(1) ベースロード電源とは何か
(2) ベストミックス論とは何か
3 原発は失格電源である
(1)  ベースロード電源は劣った電源である
(2) 原発はベースロード電源としても失格である
4 「原発の電気は安い」は誤りである
(1) モデル試算の検討
(2) コスト等検証委員会報告書
(3) コスト等検証委員会報告書の検討
5 核燃料サイクルは不経済
(1) 核燃料サイクルとは何か
(2) 直接処分の優位性は明白
(3) 核燃料サイクルを断念しない政治的理由
第2章 電力システム改革とは何か
1 名ばかりの電力自由化
(1) 地域独占の根拠は「規模の経済」
(2) 電力自由化の進展
(3) 電力自由化の担い手は新電力
(4) 新電力の伸びを阻むもの
(5) 規制なき独占
2 「名ばかりの電力自由化」から電力システム改革へ
(1) 「規制なき独占」から競争状態へ
(2) 非対称規制が必要
(3) 垂直統合型から構造分離型へ
(4) ディマンドレスポンス
(5) 価格シグナルによる需給調整
(6) 電力システム改革専門委員会報告書
(7) 電力システム改革の工程
第3章 電力システム改革は脱原発を促進する
1 電力システム改革と原発の新増設
2 電力システム改革と原発の再稼働
3 電力システム改革に伴う原子力損害賠償制度の大転換
(1) 原子力損害賠償法の仕組み
(2) 福島原発事故の補償
(3) 電力システム改革後は破綻処理が当然になる
第4章 放射能汚染の拡散と脱汚染 125
1 がれき広域処理による放射能の拡散
2 「放射性物質により汚染された廃棄物」の処理制度
(1) 「放射性物質により汚染された廃棄物」とは
(2) 特定廃棄物は国が処理
(3) 特定一般廃棄物・特定産業廃棄物は市町村・排出企業が処理
3 特定廃棄物の処理による放射能拡散
(1) 焼却による拡散
(2) 埋立による拡散
4 不法投棄による放射能拡散
5 リサイクルによる放射能拡散
6 環境法改正は放射能汚染を防げない
(1) 環境基本法の改正
(2) 個別環境法の改正
(3) 監視だけでは汚染を防げない
7 脱汚染の道筋
(1) 電力システム改革が放射能拡散政策を変える
(2) 帰還強制は殺人にも等しい暴挙
(3) 脱汚染の鍵は「避難の権利」
あとがき
索引

著者略歴

著:熊本 一規
1949年 佐賀県小城町に生まれる。1973年 東京大学工学部都市工学科卒業。1980年 東京大学工系大学院博士課程修了(工学博士)。和光大学講師、横浜国立大学講師、カナダ・ヨーク大学客員研究員などを経て現在 明治学院大学教授。1976年以来、各地の埋立・ダム・原発等で漁民をサポートしている。専攻 、 環境経済・環境政策・環境法規。
 著書 『埋立問題の焦点』(緑風出版、1986年)、『公共事業はどこが間違っているのか?』(れんが書房新社、2000年)、『海はだれのものか』(日本評論社、2010年)。『よみがえれ!清流球磨川』(共著、緑風出版、2011年)、『脱原発の経済学』(緑風出版、2011年)、『がれき処理・除染はこれでよいのか』(緑風出版、2012年)など多数。

ISBN:9784846114206
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:200ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2014年12月
発売日:2014年12月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THY