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小学館文庫

白の海へ

To the White Sea

著:ジェイムズ・ディッキー
訳:高山 恵

紙版

内容紹介

野生の心を呼びさますどこまでも残酷で美しい小説

1945年3月、米軍の機銃兵マルドロウが乗り込んだB-29型爆撃機が東京上空で墜落した。命は取り留めたものの戦禍の異国にひとり投げ出されたマルドロウは、ただ生き延びるため、故郷アラスカで育まれた野性を頼りに、雪と氷の世界、北海道を目指す。
人を殺して服を奪い、闇に紛れて身を隠しながら歩き続ける。白鳥を捕えて生肉を食らい、むしった羽と人骨の針で防寒服を作る。丸太を運ぶトロッコに潜り込み、日本軍から護送車を乗っ取ってひたすら北上。まるで野生動物に化したごとく壮絶な闘いを繰り返した彼は、ついに北海道に渡り、夢に見た白の世界へ辿り着くが……。
本書は、映画『脱出』(72年)の原作で世界的ベストセラーとなった『わが心の川』で知られる作家・詩人のジェイムズ・ディッキーが、1993年に発表した小説です。アメリカ人の視点による太平洋戦争さなかの日本の描写も興味深いですが、それ以上に、雄大かつ繊細な自然の描写と、主人公の強烈な死生観、野生の魂に心揺さぶられる魅力的な一作です。

【編集担当からのおすすめ情報】
本書はかつて、コーエン兄弟の監督・脚本、主演ブラッド・ピット、日本ロケで映画化が進行していたという話題作です。2001年の米国同時多発テロにより、スタッフ、キャストが来日できなくなり企画が断念されたそうですが、コーエン兄弟が、強い興味を示したのもうなずける魅力的な作品です。

ISBN:9784094084986
出版社:小学館
判型:文庫
ページ数:352ページ
定価:657円(本体)
発行年月日:2010年08月
発売日:2010年08月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB