旧ソ連地域と紛争
石油・民族・テロをめぐる地政学
著:廣瀬陽子
内容紹介
ソ連解体により独立を果たした旧ソ連構成一五共和国、とりわけコーカサス諸国は数多の民族紛争を抱え、またカスピ海の天然資源や地政学的位置の重要性ゆえに、ロシアおよび欧米諸国がその影響力を保持しようと当地の紛争、政治・経済に深く関与するため、その混乱の度合いは厳しいものとなっている。本書では、旧ソ連地域の国際関係・内政問題の文脈を押えつつ、特にコーカサス/アゼルバイジャンの事例に沿って、「紛争予防」や「人間の安全保障」といった平和構築への取り組みを検証する。
目次
序文
第1章 九・一一事件後のコーカサス
--テロと紛争をめぐるグローバル・ガバナンス
第1節 テロと紛争
第2節 テロとグローバル・ガバナンス
第3節 テロ後のロシアの対コーカサス外交
第2章 旧ソ連地域の攻防
--揺れる国際関係と石油をめぐる攻防
第1節 CISにおけるコーカサスの位置と安全保障
第2節 CIS内のサブ・リージョナル・グループ1:GUUAM
第3節 CIS内のサブ・リージョナル・グループ2:コーカサス4
第4節 カスピ海とエネルギーポリティクス
第3章 民族紛争と民主化
--ナゴルノ・カラバフ紛争とアゼルバイジャンの権威主義体制
第1節 ナゴルノ・カラバフ紛争の政治的考察--紛争激化の要因と冷戦終結の影響
第2節 紛争の政治的利用--ホジャル事件からの一考察
第3節 ナゴルノ・カラバフ和平と民族共存の展望
第4節 アゼルバイジャンの権威主義の成立と変容
終章 アゼルバイジャンは「革命」のドミノを回避できるか
--旧ソ連地域の平和構築に向けて
第1節 「革命」のドミノ?
第2節 イルハム・アリエフの政治
第3節 アゼルバイジャンで民主革命は起こるか
第4節 おわりに——旧ソ連地域の今後の展望
あとがき