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綿・糸・布 房州じんのを読み解く

解説:あわコットンクラブ

紙版

内容紹介

「綿・糸・布 房州じんのを読み解く」 あわコットンクラブ著

房州は海に囲まれ、低い山を背に温暖な気候です。元白浜海洋美術館長夫妻はこの地の「万祝(まいわい)」に魅せられて、昭和30年代民家を尋ね歩きそれらを蒐集しました。このとき一緒に収集した手紡ぎ、手織り、手染めの布や当時手に入れることができた布約170点、又それらを使った仕事着は陽の目を見ることなく蔵入りしていました。明治、大正、昭和の初めのものです。あわコットンクラブはその布を調査し、「房州縞帳」を作製しました。その後布に誘われて資料にあたり、訪ねた場所、伺ったお話を合わせてこの本にまとめました。緯糸が麻素材の蚊帳、明るい藍の色が暮らしの中で生まれています。

本の体裁は下記の要領です。

☆じんの ☆織道具 ☆仕事着

布は素材、密度、撚りなどを調査、仕事着は採寸し、素材と共に記録、この2つを写真で、織道具は寸法を入れ、失われた道具を含めて鮮明なイラストで掲載しています。

☆早川雪舟の母が織った布—じんのの織手たち 
☆綿打神の石碑
☆安房での綿作はどのようであったか
☆農民は何を着ていたか—古文書から
☆関西から海渡りの物流、交流の中で生まれた房州の織物工場 
☆海女着—済州島との繋がり 
☆養蚕の「統一館」と西陣の教本、養蚕家へのインタビュー
☆藍を育て、染めた藍染の記録、今紺屋は?

布を追って次々に展開される課題に先人の著書、残されている資料にヒントを探して整理し、地元の方たちのお話を大事に掲載しています。

鴨川市房田の綿打神の石碑、地元で見つかった綿弓、綿繰り機、紡ぎ車により江戸時代から綿作が盛んであったことがうかがわれます。糸染めは、万祝を染めるためにかって海沿いに数十軒の紺屋があり、藍はそこで染められたと思われます。一部地名を加え、文中の地名を印した復元安房全図、大正時代初期の那古寺周辺の街並みを掲載しています。

目次

序にかえて「地布(じんのう)との出会い」白浜海洋美術館 名誉館長 柳 和子

はじめに 房州じんのを読み解く

實測安房全図
  
一章 房州じんの
 白浜海洋美術館所蔵の「房州縞帳」の中から
         
二章 房州の木綿織物
 房州「じんの」の織手から見える漁村
 房州地織木綿 「千倉木綿と和田の木綿工場」
 木綿工場の周辺 綿打ち・取替木綿

三章 近世安房の木綿事情
 「綿打神」を祀ったとされる石碑を尋ねる 安房国長狭郡房田
 安政四年とは 
 木綿を作る 農書『百姓伝記』『農業全書』『綿圃要務』から
 綿作奨励の背景・安房の綿作 里見文書、『毛吹草』、安房の村明細書及び差出帳より
 技術職としての農間渡世 紺屋と綿打職人
 農民は何を着ていたのか(紛失品物文書から)

四章 安房の手紡ぎ・手織の道具

五章 房州の海の暮らし
 近世房州漁業の発展と綿作
 房州海女の潜り着
 房州の済州島海女に聞く

六章 仕事着
 
七章 房州の養蚕と絹織物
 明治から昭和にかけての房州の養蚕状況
 風通絣と六枚綾織り
 鴨川の養蚕家 内記 朗氏へのインタビュー

八章 藍染
 藍を育てる
 藍を染める
 紺屋雑記

おわりに

著者略歴

解説:あわコットンクラブ
あわコットンクラブ 略歴

・2008年 南房総市千倉町出身の染織家笠井美智子が白浜海洋美術館所蔵のじんのを研究、保存のため仲間を募り発足
・2009年 「房州縞帳」制作開始。南房総市資料館及び館山市立博物館の染織関連資料の調査
・2010年 南房総市「市民提案型まちづくりチャレンジ事業」の助成を受ける。房州での日本綿の栽培普及活動、糸になるまでのワークショップ展開、糸車等の道具の復元。
・2011年 同事業2年目、房州の漁師から木綿の漁網制作の技法を学び市民に紹介、技法を用いたハンモック制作、ワークショップ展開。
・2012年 同事業3年目、糸から布へのワークショップ。「房州縞帳」完成、都内、千葉県内3カ所で「房州縞帳展」を開催。
・2013年 書籍出版のため、公益財団法人 土屋文化振興財団の助成を受ける。鴨川市郷土資料館はじめ房総の各資料館での調査。地元の方たちからの聴き書き。
・2021年 7月『綿・糸・布 房州じんのを読み解く』を出版。10月出版記念展をもって活動を閉じる予定。

ISBN:9784991213809
出版社:海の近くの出版社
判型:A4変
ページ数:114ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2021年07月
発売日:2021年07月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDPF