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中学生にわかる遠近法 3

筒で考える遠近法

著:古根 里峰

紙版

内容紹介

この本は、どうして透視図(パース)のような描き方をするのかという疑問を持つ人に、その理由を丁寧に説明しながら、遠近法について解説しています。
 はるきという少年のところに、毎晩ミエモ博士が現れて、話しながら説明する会話形式で進んでいきます。各ページにあるわかりやすい説明図や写真を見ながら、遠近法を学ぶことができます。
 遠近法を「正方形開口の筒」でのぞいた見え方で説明しているので、より身近なものとして遠近法を理解できます。「正方形開口の筒」で格子模様を見た「見え方」や「正方形開口の筒」を真っすぐのばしたとき、先端開口の「正方形枠」がどう見えるかから出発して、「筒に平行な直線」、「平行でない直線」(以上は第1巻)、「筒に直角の向きの等間隔の平行線」、格子天井や床タイルのような格子模様(以上は第2巻)、第3巻では、第1・2巻を応用、発展させて、水平線(地平線)、立方体の「見え方」などについて説明しています。
 原理から理解することで、原理を応用することができ、透視図(パース)の画法に頼らずに、自分で考えて見え方をつくれるようになるでしょう。
 全3巻構成で、第1巻は基礎的説明、第2巻は基礎的説明とその応用等、第3巻はさらに基礎的説明を応用、発展させた内容で、写真や名画などの事例を豊富に載せています。第1・2・3巻と進んでいくうちに、思いもしなかった不思議な遠近法の世界が開けていき、楽しみながら遠近法を学べます。この本は今まで誰も書いていなかった内容を数多く載せています。
 第3巻では、第1・2巻で導き出した基礎的説明を応用・発展させます。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に第2巻で導き出したタイルの見え方の法則を応用して、絵に描かれている奥の部屋までの眼からの距離と部屋の幅との間に隠されていると思われる黄金比の関係を出します。「最後の晩餐」の絵の構図を、ダ・ヴィンチがどのように決めたかを推測して、解き明かします。高い画家の眼の位置で描かれている「最後の晩餐」の絵が、絵を見る人の低い眼の位置で描かれたらどう変わるのかを考えて、その絵をつくります。また、テニスコートの白線のラインから地平線や水平線を考える等、興味深い応用例をたくさん載せています。 
 この本は、遠近法の解説書ですが、当たり前のこととして日常見過ごしている「ものの見え方」を、科学としてとらえた本とも言えます。「ものの見え方」のきまりを、この本独自の法則とし、それを応用発展させ、写真なども使って確かめる、科学の調査・研究の進め方の構成となっています。科学の読み物としても読める内容です。
 また、図形の相似など中学数学をいろいろな章で応用をしています。中学数学を応用した読み物としても楽しめるでしょう。
 レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」についての2章にわたる解説や、ブルネレスキの描いた洗礼堂の見え方の描き方の説明など、美術愛好家も楽しめる内容となっています。

一般の書店では取り扱われず、Amazonでのみ販売されるPOD書籍(注文ごとに印刷製本される書籍)です。 

目次

目次とその概要

■ 26日目 最後の晩餐-1
 レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の絵に描かれている部屋の寸法と、見ている距離との間に隠されていると思われる黄金比について解き明かします(第2巻 23日目で導き出した法則の応用)。絵に描かれている部屋や机の大きさの寸法の出し方を説明し、具体的な大きさを導き出します。絵のある実際の修道院の部屋と絵に描かれている部屋との関係を図解します。

■ 27日目 最後の晩餐-2
 「最後の晩餐」の絵の構図を、ダ・ヴィンチがどのように決めたかを推測して、解き明かします。高い画家の眼の位置で描かれている「最後の晩餐」の絵が、絵を見る人の低い眼の位置で描かれたらどう変わるのかを説明しながら、その絵をつくります。

■ 28日目 地平線を高く上って見る
 筒の向きを平らな地面に平行にして、高く上げていった筒をのぞくと、地平線がどう見えるかについて考えます。後の章で写真で確かめます。

■ 29日目 水平線とものさし
 海岸で手前にものさしを立て、その向こうの海を、カメラの高さは変えずに、向きを上下させて撮ります。写真に写っている水平線とものさしの目盛の位置関係が予想と違っています。それについて考え、理由を見つけ出します。

■ 30日目 地平線-テニスコート
 テニスコートの写真のラインをのばした交点で地平線(水平線)を考えます。

■ 31日目 地平線-トラックライン
 手前に立てた格子のメッシュ越しに、陸上競技場のトラックラインの写真を撮ります。その写真にあるメッシュとラインをのばした交点との位置関係が予想と違っています。その理由を考え、見つけ出します。

■ 32日目 地平線-写真で見る
 気球の競技大会、異なる高さで撮った沖の岩場、超高層ビルや山頂や飛行機からの景色、飛行機雲などの写真で地平線(水平線)について考えます。

■ 33日目 風景画を描く
 どこまでも広がっている平らな地面に人がいたら、どう見えるか、その絵をつくりながら考えます。眼の高さを変えた絵もつくります。海を背景に人と水平線の写った写真で考えたことを確かめます。

■ 34・35日目 立方体の見え方を描く
 立方体の見え方を、第1巻 6日目で考案した方法でつくります。

■ 36日目 立方体の見え方を2本の平行線で描く
 2本の平行線を用い、三角形の相似を利用して、線を引くことで線の長さを比例配分し、見え方をつくります。

■ 37日目 ブルネレスキの描いた洗礼堂
 遠近法を発見したブルネレスキは八角形の洗礼堂を写生し、その絵を鏡にうつして見せる実験をしました。その八角形の洗礼堂の眼の高さを変えた見え方を描きます。立面図と平面図を利用した方法でも見え方を描きます。当時の描き方がそのやり方だったかもしれません。それを立方体の見え方の描き方にも応用します。

■ この本だけで使われている法則・特殊用語
 巻末にまとめて説明をつけて解説。

著者略歴

著:古根 里峰
早稲田大学(建築)卒業、大学院(建築)修了
ドイツ大学建設局で研修、設計事務所在勤時より遠近法を
15年以上にわたり調査、研究
現在はフリーで遠近法について調査、研究を継続中

ISBN:9784991135323
出版社:MK工房
判型:B5
ページ数:198ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2020年08月
発売日:2020年10月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA