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中学生にわかる遠近法 2

筒で考える遠近法

著:古根 里峰

紙版

内容紹介

この本は、どうして透視図(パース)のような描き方をするのかという疑問を持つ人に、その理由を丁寧に説明しながら、遠近法について解説しています。
 はるきという少年のところに、毎晩ミエモ博士が現れて、話しながら説明をしていく会話形式で進んでいきます。各ページにあるわかりやすい説明図や写真を見ながら、遠近法を学ぶことができます。
 遠近法を「正方形開口の筒」でのぞいた見え方で説明しているので、より身近なものとして遠近法を理解できます。「正方形開口の筒」で格子模様を見た「見え方」や「正方形開口の筒」を真っすぐのばしたとき、先端開口の「正方形枠」がどう見えるかから出発して、「筒に平行な直線」、「平行でない直線」(以上は第1巻)、「筒に直角の向きの等間隔の平行線」、格子天井や床タイルのような格子模様、(以下は第3巻)水平線(地平線)、立方体の「見え方」などについて説明しています。
 原理から理解することで、その原理を応用することができ、透視図(パース)の画法に頼らず、自分で考えて見え方をつくれるようになるでしょう。この本の内容を写真で確かめることだけでも自由研究の課題になるでしょう。
 全3巻構成で、第1巻は基礎的説明、第2・3巻は第1巻の基礎的説明を応用した内容で、写真や名画などの事例を豊富に載せています。第1巻の基礎的原理を応用して第2・3巻と進んでいくうちに、思いもしなかったような不思議な遠近法の世界が開けていき、楽しみながら遠近法を学べます。この本は今まで誰も書いていなかった内容を多く載せています。
 第2巻では、ヴェネツィアのサンマルコ広場の名画(カナレット)や建築(ボッロミーニなど)への応用事例や、ブルネレスキのフィレンツェのドームの話や遠近法の実験をしたことなどを入れています。平行線の写真(競技場の白線や建物)から「カメラ位置」を出しています。タイルの見え方の縦辺(奥行き方向の辺)と対角線をのばした交点の間隔から、タイルの横辺の眼からの距離を出す方法を導き出します。この方法は誰も書いていなかったことです。それを応用して、野球場のダイヤモンドや建物の列柱をタイルと考えて、その写真から「カメラ位置」を出します。 
 この本は、遠近法の解説書ですが、当たり前のこととして日常見過ごしている「ものの見え方」を、科学としてとらえた本とも言えます。「ものの見え方」のきまりを、この本独自の法則とし、それを応用発展させ、写真なども使って確かめる、科学の調査・研究の進め方の構成となっています。科学の読み物としても読める内容です。
 また、図形の相似など中学数学をいろいろな章で応用をしています。中学数学の図形等を応用した数学の読み物としても楽しめるでしょう。
 名画や建築を題材にしての遠近法の説明も多数あり、美術愛好家も楽しめる内容となっています。

 一般の書店では取り扱われず、Amazonでのみ販売されるPOD書籍(注文ごとに印刷製本される書籍)です。

目次

目次とその概要

■ 15日目 直線を写真で見る-フィールド(2) 
 写真にあるフィールドの平行線(ライン)から、平面図上で写真の撮影位置を出します。14日目(第1巻)から続く内容。 ライン(白線)に平行な向きに撮った写真と、平行でない向きで撮った写真と平面図(航空写真)の関係、ライン(白線)から新たに斜め平行線をつくり、それらと平面図(航空写真)の関係について考えます。

■ 16日目 直線を写真で見る- サンマルコ広場
 ヴェネツィアのサンマルコ広場の名画(カナレット、グアルディ)や写真で、平行線の向かう点について考えます。13・14日目(第1巻)、15日目の内容を応用して、広場の写真からその撮影位置を出します。

■ 17日目 直線を写真で見る-スパダ宮
 遠近法を巧みに応用して設計されたスパダ宮の柱廊(ボッロミーニ設計)のしかけを解き明かします。スパダ宮の柱廊と同じように見える普通に設計された柱廊(サンマルコ寺院)の写真を並べて、最後に2つの平面図を比較し、ボッロミーニの巧みな設計を確かめます。

■ 18、19日目 なぜ線路は中心に向かうのか-1・2
 筒の向きに平行な直線はどんなに離れていても、筒の中心からのぞくと筒先端の<正方形枠>の中心に向かうように見えること(第1巻 10日目)の理由の説明。

■ 20、21日目 等間隔の平行線の見え方
 等間隔の平行線を直角の向きで見たときの見え方を考えながらつくります(第1巻 4日目の応用)。ルネッサンスにブルネレスキによって遠近法が発見されるまで、画家たちがよくわからなかった見え方です。

■ 22日目 筒の長さを変えて見る
 等間隔の平行線を直角の向きで見るとき、筒の長さを変えるとどうなるかを考えます。

■ 23日目 タイルの対角線
 タイルの見え方から、 ①縦辺(奥行方向の辺)をのばした交点と対角線をのばした交点の間隔、②横辺の見える長さ、③眼からその横辺までの距離、その3つの不思議な関係を導き出します。3巻を通じての最大のトピックであり、この本で初めて公開している内容です。この不思議な関係を使い、第3巻でレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に隠されていると思われる、奥の壁までの眼からの距離と黄金比との関係を解きあかします。

■ 24日目 天井写真を使って-1
 23日目のタイルの見え方でやったことを格子天井の写真で確かめます。野球場やアメリカンフットボールのフィールドの写真にも応用し、写真からその撮影位置を出します。

■ 25日目 天井写真を使って-2
 格子天井や建物の等間隔の柱の写真で、等間隔の平行線(20、21日目)やタイルの見え方(23日目)でやったことを確かめます。

■ この本だけで使われている法則・特殊用語
 巻末にまとめて説明をつけて解説。

第1巻の基礎的説明にものたりないと思われた方も、それを応用した、第2巻の写真や名画の事例を多く盛り込んだ内容に興味を持たれると思います。

著者略歴

著:古根 里峰
著者略歴
早稲田大学(建築)卒業、大学院(建築)修了
ドイツ大学建設局で研修、設計事務所在勤時より遠近法を
15年以上にわたり調査、研究
現在はフリーで遠近法について調査、研究を継続中

ISBN:9784991135316
出版社:MK工房
判型:B5
ページ数:184ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2020年08月
発売日:2020年10月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA