少国民たちの戦争
日記でたどる戦中・戦後
著:志村 建世
内容紹介
戦後六五年の夏―いま改めて〈戦争と平和〉の原点に返って追憶する。
東京の街は戦場だった! 「皇国少年」だった著者が、その日記に書きつづった大空襲下の、東京の生活とは……。
著者と国民学校の同窓で、「戦場体験」を共有した作家・内田康夫氏が、帯文で推薦。
目次
まえがき 2
第一章 昭和初期の東京 9
いちばん古い記憶/私の育った家/丸いちゃぶ台/電気の使い方/水まわりと便所/
大家族の人間関係/親の怖さ/大日本帝国の時代/軍国の子守唄
第二章 戦争はまだ遠かった 29
一年生の日記/一銭玉の感触/紀元二千六百年/戦争前夜の日独伊三国同盟/隣 組と回覧板/小学校から国民学校へ/いろいろな大人たち/戦前最後の夏休み
第三章 戦争が始まった 47
強まる戦時色そして開戦/昭和十七年版の『児童年鑑』/東京初空襲/戦争と国民 生活/厳しくなる戦局と生活/学童疎開に行く/貧しくなった食卓/防空壕を掘る /B29を見た/激化する空襲/焼夷弾の実態
第四章 昭和二十年という年 71
運命の昭和二十年/戦時下の正月/写真屋さんの芋糖/インドもビルマも遠かっ た/寒い冬に不吉なニュース/空襲下の日常/三月十日の大空襲/大空襲の後
第五章 大空襲下の東京 89
緊迫する戦況/強制疎開という破壊/学校がなくなった/周囲が火の海になる/焼 け跡の風景/降伏したら殺される/先行きの見えない戦況/どんな暮らしをしてい たか/アメリカ軍の宣伝ビラ
第六章 家族への召集令状 109
召集令状が来た/寺子屋の復活/空襲は空の活劇/兄の出征/沖縄戦の最後/無視 されたポツダム宣言/黙々と壕を掘る/新型爆弾とソ連の参戦
第七章 戦争が終った 127
玉音放送を聞く/それぞれの玉音放送/戦争は急に止まれない/戦後の始まり/空 から始まった占領/相次ぐ復員/鬼畜米英という虚像/去る者と来る者/アメリカ 兵を見た/友だちが帰ってきた/アメリカ兵のジープにハロー
第八章 闇市とインフレ 151
餓死者を見た/闇市の始まり/教科書に墨を塗る/昭和二十年の年末/変ったもの と変らぬもの/昭和二十一年が明けた/インフレと民主主義/忘れられない先生/ 預金封鎖と新円の発行/新鮮だった共産党
第九章 学校と空腹と買い出し 173
中学受験と卒業式/入学試験と総選挙/飯炊き担当と食糧事情/英語と漢文の特訓/
大人の学校の入学式/食糧メーデーと食糧休暇/買い出し列車は命綱
第十章 戦後の旅と家業の再開 189
昭和二十一年戦後の旅(一)/昭和二十一年戦後の旅(二)/昭和二十一年戦後の 旅(三)/昭和二十一年戦後の旅(四)/食糧難続く/DDTと家業の再開/イン ターハイの蹴球/昭和二十一年秋の東京/電産ストとインフレ激化/昭和二十二年 の正月
第十一章 廃墟の中からの復興 211
不逞の輩と二・一ゼネスト/立春に卵が立つ話/家業の繁盛と関東大水害/値上げ 三・五倍の時代/続くインフレと凶悪事件/焼けビルの住人/遅れて来た悪童時代 /野ばら社の『児童年鑑』昭和二十四年版/インフレの終息
資料・空襲の実像(その一) 231
空襲の実像(その二) 234