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日本再興 経済編

グローバリズム支配から日本を取り戻し、世界をリードする財政・通貨改革

著:松田学

紙版

内容紹介

 過去の約30年間で、アメリカやヨーロッパのOECD加盟国は、ほぼ軒並み給与レベルが2~2.5倍、スイスなどは3倍ほどになっているのに、日本人の賃金だけは全く伸びていない。中国に抜かれるまで世界2位だったGDPの伸び率にいたっては、世界200カ国の中でも最下位レベル。国民一人当たりGDPも27位(IMF World Economic Outlook Database,Oct.2022)まで低下している。「失われた30年」と言われ、日本の経済的な地位は著しく低下してしまった。なぜだろう?
日本国内では、1997年あたりから資産デフレが進行し、現在では主要上場企業も海外ファンドの持ち株比率が高くなり、伝統的な日本企業の社名ではあるが、実質的オーナーは外資という企業も激増した。大手製薬企業で最大株主が外資系ファンドでないところは、ほとんど残っていないし、都銀をはじめとする金融機関とて同様だ。主要都市の不動産をはじめ、地方の防衛関連で重要な地域の土地や水源地に至るまで、日本の根幹が、次々と外国資本に買われてしまっている。メディアは触れないが、日本に歴史上最大の危機が迫っていると言ってもいい。
本書は、元大蔵・財務官僚で、その後、危機感にかられて政界に身を置き、現在は国政政党の参政党代表の著者が、日本の「失われた30年」が始まった歴史的経緯を詳らかにし、その背景に「ワシントン・コンセンサス」というグローバリズム勢力の明確かつ具体的な意図が存在していたこと、そして現在もなお継続中であることを示したものだ。同時に、外国勢力による意図を国内側から下支えした勢力が存在していること、また、財務省の振る舞いがさまざまな制度的な軛、象徴的に言えば、国債発行残高を減らすという財政規律、プライマリーバランス論に縛られ、日本国を豊かに富ませ、国民の幸福を増進するという本質を見失ってしまっていることを指摘し、これに対し本質的かつ最終的な解決案を提示している。
著者のスペシャリティーでもある「ブロックチェーン技術」の本格活用により、世界中で主導権争いが進められつつある「デジタル貨幣制度」において、中国の「デジタル人民元」の傘下に組み入れられないように、「デジタル円」の制度設計を早急に進めよとのプラン、すなわち「松田プラン」の提案である。このプランとの組み合わせにより、60年償還ルールに縛られ、世界でも特異な「国債返還強迫神経症」に陥っている日本の財政当局を無用な軛から解放できるとの画期的な呼びかけは、今後国民的な議論を経て、実現に向けての着実な一歩を踏み出すものと思われる。他に、残された道はないのだから。
2023年10月からの、インボイス制度の導入については、現今のデフレ下において中小・零細企業や個人事業主、フリーランスを必然的に圧迫するため、強行すべきでないと主張する。制度導入以前に広がる具体的な不安の声によく耳を傾けてのものである。読者は、この松田プランの実現により、日本は輝かしく再興を遂げるであろうとの、大いなる希望を共有できるに違いない。

目次

まえがき
今、「インボイス制度」導入は正しいのか? 
仕組まれていた日本の〝失われた30年〞 
人間本意のデジタル通貨革命で日本の時代になる 

1章 緊急提言 STOP! インボイス
今は「税の論理」のときではない

そもそもインボイス制度導入は、今、本当に必要な状況なのか? 
消費税と「税の論理」 
公明党が押し込んだ軽減税率の導入が制度を複雑化し、インボイス導入の呼び水に 
消費税と同じタイプの税=世界各国で導入されている付加価値税 
米国の売上税とは異なる付加価値税の仕組み 
米国の人は間接税が好きでない? 
小売税から付加価値税へ 
所得の低い人にはつらいのが逆進性、これを克服するための軽減税率 
欧州各国の複数税率事情 
日本の消費税にも非課税や不課税の品目がある 
1%刻みで税率を上げたこともあるドイツの付加価値税 
税率の引上げは景気の良いときにするのが世界の常識
税率を上げ下げしてきた欧州、機動的に消費税の減税ができるために 
シンプルさを重視したのが日本の消費税 
これから日本に入る「インボイス方式」とは何なのか 
インボイス方式のもとで、事業者は新たに何をしなければならなくなるのか 
帳簿方式では「益税」の問題、インボイスでは取引から排除される問題 
取引から排除されないための仕組みはあるのか? 
課税事業者になる選択をしても救われることがある 
インボイス方式には事務負担が大きいという問題 
事務コストを削減するとインボイスの意味がなくなるという問題も 
EUではインボイスのコストが7兆円!? 
インボイスの電子化が不十分な限り、導入すべきでない 
インボイスのないこれまでの日本の消費税にはメリットがあった! 
日本ではデメリットがメリットを上回る 
それなのに、日本にもインボイスが導入されることになった経緯 
さらなる増税のための地ならしか? 
日本経済をずっと下支えしているのは中小企業 
経済は生き物。政策もタイミング次第で、生殺与奪の権を握る 
個人事業主や零細企業の意欲を削そぐ、「利益圧迫」「事務負担増」の愚 
価格決定権を持つことは、経営者の腕の見せどころだが……。 
インボイス導入で本当に価格転嫁をしやすくなるのか 

2章 今、「税の論理」では日本を救えない!
「経済の論理」を優先させるのは政治の役割

「税の論理」の第1原則は公平性の確保 
日本の申告納税制度は納税者の善意に期待している制度 
日本では脱税の挙きょ証しょう責任が国にある 
「マルサの女」は完全実話だった――私が査察部長だったときのお話 
大型脱税者の乗る高級外車に国税局の車は追いつけない件 
警察、検察よりマルサのほうが怖いと言われる理由 
職員が不足するなか、税負担の公平性をいかに担保するか 
日本で起こっている直接税の論理と間接税の論理の逆転現象 
「社会保険料負担増」という〝ステルス増税〞に多くの国民は気づいていない 
「財政の論理」……財務省はおそらく、永久に「消費税減税」をしない 
「ただより高いものはない」――ゼロゼロ融資後の地獄 
「財務省真理教」?から、いかにして脱するか 
経済的に「有事」が続く今、優先すべきなのは「経済の論理」だ 
「経済の論理」の1丁目1番地は異常なデフレ経済からの脱却 
金融緩和のもとでのお金の増やし方 
「日銀の論理」と金融緩和の「出口」 
膨らんだ日銀のバランスシートを元に戻す道は一つしかない 
日銀の論理を超えて、財政による経済の論理を 

3章 財政の論理を乗り超えるために
知っておきたい〝国債の物語〟と国民本位の財政運営基盤づくり

国債――「日本国民一人当たり1000万円の借金を背負っている」という巧妙な嘘うそ
財務省の論理では国債発行は良くないことになる理由 
金利のことを考えると、財政の論理は経済の論理を打ち負かしてしまう? 
増える一方の赤字国債の物語 
「財政の論理」の根本にあるのは60年償還ルールと建設公債の原則 
経済の論理を進める第一歩は、建設国債から「投資国債」へ 
次の一歩はバランスシート財政運営への公会計改革 
次の一歩は財政の「見える化」でメリハリの効いた積極財政 
真の「財務」省で民主主義と国家経営のインフラづくりを 
防衛財源については「守るべきは永続する国家」という意識を持て 
財務省の自己満足?の「60年償還ルール」を変えるだけで増税は不要に 
日本は財政破綻しないということの意味 
 
4章 「失われた30年」の真犯人は〝カイカク真理教〟だった
グローバリズムに「占領」された日本経済

こんな日本に誰がした? 経済成長率が、世界でほぼ最下位とは 
大蔵省が金融機関を見捨てた日 
正義と規律が経済の論理を壊す 
インフレ時代からデフレ時代へのパラダイム転換 
デフレマインドを反転させる将来への「期待」こそが経済の論理 
日本の資産デフレ⇒外資による買収も、ワシントン・コンセンサスの筋書き通り 
国際社会では「陰謀」は当たり前、グローバリズム勢力が仕掛ける戦略 
グローバリズムと向き合う国家意識こそが経済的な繁栄の源 
市場規律至上主義の「カイカク真理教」が日本経済を衰退させてきた 
グローバリズムとは「今だけ、金だけ、自分だけ」 
90年代からの世界の潮流の中でグローバリズムが手掛けたビジネスモデル 
民間の投資感覚が及ばないスケールの事業にこそ国はチャンスを与えよ 
「もう銀行員はいなくなったんだよ」銀行員だった父の慨嘆 
国家意識を欠いた国は経済成長を失い、国も失う 
世界を席巻する中国という新潮流 
「株主資本主義」が日本人の賃金が上がらなかった元凶 
日本のストーリーの喪失とモラルダウン 
欧米キャッチアップ後の局面変化に対する、意識のモードチェンジの遅れ 
業界縦割りの「組織本位制」と一億総無責任体質が日本をダメにした 
戦後システムで失われた共同体、「日本を取り戻す」の意味を考える 

5章 松田プランはルネサンスだ 
「人間を取り戻す」ことが全ての根幹

今の仕組みのもとで現実に採用できない政策論は「弱犬の遠吠え」 
財政健全化といっても、国債を処理してしまうしか道はない 
「統合政府」で考えれば、日銀保有の国債は政府の「借金」ではなくなっている! 
「永久国債」とは?……日銀保有の国債を満期時に乗り換える「永久国債オペ」 
永久国債オペで国債の減少と17兆円規模の財源の創出が同時達成 
永久国債オペをそのまま受け入れられないのが日銀の論理 
日銀が持つ永久国債は政府が発行する「デジタル円」で償還する 
マイナンバーを運営する政府なら、とても便利なデジタル円を発行できる 
安倍氏が評価した松田プランで、まだ未完のアベノミクスを完成に近づけられる 
積極財政で国のまもりにもつながる松田プランの意義 
いま通貨の概念が人類史上初めての大変化を遂げようとしている 
中国で高度に発達している情報技術とデジタル人民元の脅威 
中国がブロックチェーン基盤で世界覇権を握ったら、日本は消滅の危機に 
「マイナンバーで日本は監視国家になる」というのは大誤解 
「人間が中心にいる経済と社会」を新たに創り出すために 
『鬼滅の刃』は、なぜ世代を超えて人気になったのか? 
ブロックチェーンで生活の何がどう変わる? 
Web3.0のデジタル基盤がもたらす自由で分散型の社会 
次なる新たな社会は「協働型コモンズ」 
スマホ1台ですべてのことが可能になるブロックチェーン革命 
未来の新しいお金(代トークン用通貨)ってどんなもの? 
金利つきのマネーという束縛からの脱却 
トークン・エコノミーへ、日本人のオタクが近い将来きっと世界を変える 
情報技術が支える次なる社会と、参加型民主主義の仕組みづくりへの挑戦 
地域創生のカギとなるブロックチェーン革命――K市との協働 
「人を動かすストーリー」を作れるか? 
すぐに実用化できそうな「ボランティア・トークン」 
想像力をたくましくしてトークン・エコノミーの未来を考えよう 
令和時代における世界の潮流の大転換 
「国民経済」へのパラダイムチェンジ 
「国民国家」に向けて、日本で起こった「参政党現象」 
国防の基本は国民の決意から││参政党が進める創憲の意味 
核戦略もリアリズムで考えねばならなくなった日本の安全保障 
戦争が起きる原因にはグローバリズム利権の問題がある 
党員が議論して創る参政党の政策 
デサンティス知事が実施したコロナ&ワクチン政策は参政党の主張と同じだった 
ナショナリズムに立脚した政策が支持されるのは国際的な潮流 
日本の食と農業に対するグローバル利権による支配構造 
質の良い日本食こそが食料安全保障と地域振興と「大和魂」復活のカギ 

おわりに
国民国家主義へ、新しい時代をともに創ろう! 

著者略歴

著:松田学
参政党代表。松田政策研究所代表。元衆議院議員。1957年京都生まれ。1981年東京大学経済学部卒。同年大蔵省入省、西ドイツ留学。大蔵省など霞が関では主として経済財政政策を担当、マクロ経済学のスペシャリスト。内閣審議官、財務本省課長、東京医科歯科大学教授等を経て、2010年財務省を退官し、国政進出を目指す。2012年衆議院議員。2015年東京大学大学院客員教授。松田政策研究所代表のほか、(一社)デジタルアイデンティティ推進コンソーシアム代表理事、(一社)ワクチンハラスメント救済センター理事、バサルト株式会社代表取締役社長、横浜市立大学客員教授、そのほか多数の役職に従事。YouTubeの松田政策研究所はチャンネル登録者数26万超、ブロックチェーンなどデジタル通貨・財政論の第一人者で、日本の財政危機を一気に解決しうる画期的な「松田プラン」の提唱者でもある。著書に『新型コロナが本当にこわくなくなる本』『新型コロナ騒動の正しい終わらせ方』『マスクを捨てよ、町へ出よう』(ともに方丈社、井上正康共著)、『これで日本は大丈夫!』(方丈社、武田邦彦共著)など多数。

ISBN:9784910818047
出版社:方丈社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年03月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP