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パワエレ技術者のためのSiCパワー半導体デバイス ~高信頼性を実現する素子と実装技術~

著:岩室 憲幸

紙版

内容紹介

 パワー半導体デバイスにおいて圧倒的なシェアを占めているのがシリコン半導体である。しかし,最近徐々にではあるが炭化ケイ素( SiC) に代表される次世代パワー半導体デバイスが,製品としての存在感を増してきている。本書では,電気エネルギーの一層の有効利用実現に欠かすことのできないパワー半導体デバイス,特に今後その需要の拡大が大いに期待されるSiC MOSFET について,その現状と課題ならびに課題解決のための最新技術についてわかりやすく解説されている。
 第1章は,パワー半導体デバイスの種類,構造,そして新しいパワー半導体デバイスを開発する位置づけについて説明されている。また,パワー半導体デバイスがもっとも使われているパワーエレクトロニクス回路のひとつであるインバータ回路の動作についての解説,そこからパワー半導体デバイスの役割について書かれている。そして第2章では,現在のパワー半導体デバイスの主役であるシリコンMOSFET とIGBT の現状,ならびにその最新デバイス技術や実装技術について解説しており、この最初の二つの章には,パワー半導体デバイス構造,動作,並びにその適用回路動作について解説されている箇所がある。第3章から第5章には,今後の発展が大いに期待されるSiC MOSFET について,その現状と課題,そしてその課題解決のための最新技術について,素子技術ならびに実装技術に分けて丁寧に解説されている。SiC MOSFET 最新技術については,未だ製品化には至っていないが将来有望な技術についても紹介しており、そして本書では特に,第4章として,SiC MOSFET の高信頼性特性実現のために非常に重要な「 素子破壊耐量」 について取り上げ,最新の解析結果を紹介しながらSiC MOSFET がどのように壊れるのか,シリコンIGBT よりも強いのかなどについて,その破壊メカニズムの特徴を説明し,破壊耐量向上のための最新技術について詳細に解説されている。

目次

目次

第1章 パワーエレクトロニクスならびにパワー半導体デバイス
1.1 はじめに
1.2 インバータ回路の種類
1.3 パワー半導体デバイスの役割とその課題
1.4 パワー半導体デバイス開発の位置づけ
1.5 パワー半導体デバイスの代表的な特性項目
1.6 パワー半導体デバイスの種類
1.7 現代のパワー半導体デバイスの主役:MOSFETとIGBT

第2章 シリコンパワー半導体デバイスの現状ならびに進展
2.1 開発スピードが一向に衰えないシリコンパワー半導体デバイス
2.2 シリコンMOSFET・IGBTを支える最新技術
2.2.1 基本セル構造
2.2.2 シリコンMOSFETの進展
2.2.3 シリコンIGBTの進展
2.3 IGBTモジュール実装技術の進展
2.4 特性改善のための次の一手
参考文献

第3章 SiCパワー半導体デバイスの進展
3.1 はじめに
3.2 SiCパワー半導体デバイス優位点のおさらい
3.3 SiC MOSFETかSiC IGBTか
3.4 SiC MOSFET
3.4.1 SiC MOSFETを取り巻く現在の状況
3.4.2 SiC MOSFET普及のための課題
3.4.3 結晶成長とウェハ加工プロセス
3.4.4 低オン抵抗化とチップコストの低減
3.4.5 さらなる高速スイッチング化実現に向けて
3.4.6 内蔵pinダイオードの順方向電圧劣化
3.4.7 ショットキーバリアダイオード (SBD) 内蔵SiC MOSFET
3.5 将来のSiC MOSFETに向けての新技術
3.5.1 SiC Superjunction MOSFET
3.5.2 FinFET構造
3.5.3 モノリシックSiCパワーIC技術
参考文献

第4章 SiC MOSFET破壊耐量
4.1 はじめに
4.2 安全動作領域
4.3 負荷短絡耐量
4.3.1 直流印加電圧が高い場合(例:耐圧1200 V素子で直流印加電圧VDC = 800 Vの場合)
4.3.2 直流印加電圧が低い場合(例:耐圧1200 V素子で直流印加電圧VDC = 400 Vの場合)
4.3.3 SBD内蔵SiC MOSFETの負荷短絡耐量解析とその向上策
4.3.4 素子表面にCuブロックを付加したSiC MOSFETの負荷短絡耐量
4.4 ターンオフ時の破壊耐量
4.5 Unclamped Inductive Switching(UIS)耐量
4.6 SiC MOSFET内蔵ダイオードの順方向サージ電流耐量
4.6.1 順方向サージ電流耐量とは
4.6.2 SiCトレンチMOSFETならびにSBD内蔵SiCトレンチMOSFETの耐量評価
4.6.3 素子表面にCuブロックを付加したSiC MOSFETの順方向サージ電流耐量
参考文献

第5章 SiC MOSFET実装技術
5.1 はじめに
5.2 必要となる要素技術
5.3 SiC MOSFETパッケージ内に取り込まれた要素技術
5.3.1 高強度接合技術
5.3.2 配線の低インダクタンス化技術
5.3.3 高耐熱化技術
5.3.4 高放熱化技術
参考文献

著者略歴

著:岩室 憲幸
所属:筑波大学 数理物質系 物理工学域 教授
経歴:
1962 年 東京都板橋区生まれ
1984 年  早稲田大学理工学部電気工学科卒。富士電機株式会社
入社
1988 年から  シリコンIGBT、ダイオードならびにSiC デバイス
の研究開発、製品化に従事
1992-93 年  米国North Carolina State University, Power Semiconductor Research Center 客
員研究員
1998 年:博士( 工学)( 早稲田大学)
2009 年‐2013 年 (国) 産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター
SiC パワーデバイス量産化技術開発に従事
2013 年4 月− 筑波大学 数理物質系 物理工学域 教授、現在に至る
専門:SiC パワーデバイスの設計ならびに解析
所属学会:電気学会上級会員、応用物理学会会員、IEEE Senior Member

ISBN:9784910558264
出版社:科学情報出版
判型:A5
ページ数:186ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TJF