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性的虐待を受けた性暴力サバイバーの妊娠出産期の支援 ~助産師、ドゥーラ、その他の医療従事者のためのガイド~

著:Kicki Hansard
著:Penny Simkin
著:Phyllis Klaus

紙版

内容紹介

【待望の翻訳書 第2弾】
「性暴力サバイバーが出産するとき」の著者:ペニー・シムキン、フィリス・クラウスの愛弟子によって執筆された、性暴力サバイバーが出産するときに起こることの理解と癒やしに関する最新の本
本書は、2020年にKicki Hansard (キッキ・ハンサード)氏が著したSupporting Survivors of Sexual Abuse Through Pregnancy and Childbirth(Singing Dragon刊行)の全訳です。
キッキ・ハンサード氏は、イギリス在住のドゥーラで、エデュケーター(研修講師)や文筆もおこなっています。『性暴力サバイバーが出産するとき』の基礎を受け継ぎながら、先行調査研究やエビデンスにもふれ、トラウマ治療やケアに関する最新の情報を紹介するだけでなく、その後の実践で出会った数多くのエピソードも盛り込まれています。

(日本語版への序文/キッキ・ハンサード より)
私が性的虐待のサバイバー支援に関心をもつきっかけになったのは、あるドゥーラのクライエントと面会し、彼女が幼少期に虐待を受けたサバイバーであることを私に告げたときでした。
私はそのとき、自信をもってクライエントをサポートできる手段がほしいと思いました。妊娠・出産という体験が、前向きで、できれば癒しの体験であってほしいと思ったからです。そのような中ペニー・シムキンとフィリス・クラウスの『性暴力サバイバーが出産するとき』という本に出会い、目から鱗が落ちる思いでした。これまでドゥーラとして関わってきた多くの女性たちを支え、励まそうと最善を尽くしてきたにもかかわらず、自分がしてきたこと、言ってきたことの中には、まったく彼女たちの役に立っていないものがあることに気づかされました。
(中略)
本書では、サバイバー自身の声に焦点をあてて、このテーマに関するさまざまな先行研究と組み合わせたいと思いました。そこで私はアンケートを作成し、ソーシャルメディアを通じて出産経験のある性的虐待や暴力のサバイバーたちにアンケートに答えてもらい、本の執筆に協力してくれるよう呼びかけました。最終的に、15人の女性がアンケートに答えてくれて、本書で彼女たちの回答を取り上げることができました。そして関連する調査はできる限りすべて調べ、研究を読みました。このように、サバイバーの声とさまざまな研究を軸として本を書いたのです。
(中略)
本書の日本語版の出版のこの機会に、これから日本でトラウマ・インフォームド・ケアについての対話が始まり、小さな変化が出産する、母親になる人にとっていかに大きな違いをもたらすかをケアラーたちが認識する意欲をもつようになるように願っています。ケアとは、身体的、精神的、スピリチュアル、感情的に、その人の存在全体に配慮をすることです。全人的なケアでなければ、最適とは言えません。ケアする行為のほとんどは各個人がするものですから、その違いを生み出すのは、私たち一人ひとりなのです。

目次

●序文(ペニー・シムキン/フィリス・クラウス)
●日本語版への序文
●はじめに
●第1章
これまでにわかっていること
●第2章
サバイバーとともに歩む妊娠と出産
●第3章
考慮すべき点について
●第4章
サバイバーとの協働 産後について
●第5章
出産を通した癒し

●References
●監訳者あとがき (白井 千晶)
●翻訳者プロフィール
●索引
●奥付

著者略歴

著:Kicki Hansard
イギリス在住のドゥーラで、エデュケーター(研修講師)や文筆もおこなっています。『性暴力サバイバーが出産するとき』の基礎を受け継ぎながら、先行調査研究やエビデンスにもふれ、トラウマ治療やケアに関する最新の情報を紹介するだけでなく、その後の実践で出会った数多くのエピソードも盛り込まれています。
著:Penny Simkin
理学療法士であり、バースエデュケーター、ドゥーラ、バース・カウンセラー、ライターでもあります。
著作やビデオ制作などのメディアでの発信、研修、ワークショップ、講演での講師などの啓発や教育、個別のカウンセリングなど、多岐にわたる活動をされてきました。
彼女のサイトによれば、2013年時点で、15,000人以上の人々に関わってきたそうです。
ドゥーラの研修と認定をおこなう世界的な組織DONA InternationalとPATTCh(Prevention and Treatment of Traumatic Childbirth:トラウマ的な出産の予防と治療)の共同創設者でもあります。
この分野をよりよい環境にするために、支援者・専門家にも出産者にも、多くの影響を与え、多くの方を育てられました。
著:Phyllis Klaus
結婚および家族療法士(Licensed Marriage and Fam ily Therapist: MFT)、ソーシャルワーカー(Licensed Master Social Worker:LMSW) の資格をもち、妊娠、出産、産後の医学的・心理的問題、トラウマ、虐待、原家族、喪失の問題を専門としています。
EMDR Institute認定のセラピストであると同時に、トレーナーでもあり、ヨーロッパで初めてEMDR の研修をしました。
催眠療法、グリーフ・カウンセリング、ソマティック・エネルギー療法(somatic and energy therapies)などのインストラクターであり、DONA International と PATTCh の創設者でもあります。
国内外で顧問を務める傍ら、研究を行い、教育と実践に従事しています。
共著には、日本語訳も出版された『マザリング・ザ・マザー:ドゥーラの意義と分娩立ち会いを考える(Mothering the Mother、日本語訳出版は1996 年)などがあります。

ISBN:9784910393711
出版社:ともあ
判型:B5
ページ数:112ページ
価格:4500円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKC