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月の光がクジラの背中を洗うとき

48カ国108名の詩人によるパンデミック時代の連歌

編:イオアナ・モルプルゴ
訳:四元康祐
訳:吉川凪

紙版

内容紹介

5つの大陸と7つの海を越えて孤独の壁を貫く、詩のことば

世界中でロックダウンが始まった頃、世界各地の詩人100人が短い連をメールでリレーしながら紡いだ一篇の長詩。
<自主隔離>をテーマにしたその長詩を、韓国の詩人たちから寄せられた8篇の返歌とともに、日本語と英語の2言語で掲載。

収録作より
「礼儀作法について。夢に見た。何度も何度も
 友人や見知らぬ人の手から慌てて自分の手を引っこめる
 握手禁止の決まりをうっかり忘れて
 眼が覚めても手のひらにほんのりと残っている
 人肌に触れた感覚、恥ずかしくて
 忘れてしまいたい昔の失敗の記憶のようにの中に」
   シオン〔アイスランド・レイキャビク〕

「一人でいると夢だったものが
 一緒にいると希望になった
 夢は会うことを夢見て
 希望は孤独死しない
 希望に満ちた夢 夢みたいな希望」
   オ・ウン 〔ソウル〕

プロジェクトを企画したイオアナ・モルプルゴから日本の読者へのメッセージ
「精神的な休息を必要とするとき、この世界から逃げこんでゆくことのできる秘密のシェルターのような場所が、私たちひとりひとりにとって必要です。今回の連歌に参加した百人の詩人すべてにとっては、それを書くという行為そのものが、まさにそういう場所として機能しました。今完成したそれを読むことが、あなたにとっても秘密の「隠れ家」となりますように」

目次

まえがき   四元康祐
巻頭詩    ハーフィズ
第一部 月の光が鯨の背中を洗うとき
第二部 韓国から寄せられた八つの返歌
巻末詩     シレジウス
イオアナ・モルプルゴとの一問一答
訳者あとがき
- 百八枚の羽 吉川凪
- チョウゲンボウを追って 四元康祐

著者プロフィール

著者略歴

編:イオアナ・モルプルゴ
作家、社会研究者。
1980年、ルーマニア生まれ。現在はイギリスで活動中。
訳:四元康祐
1959年、大阪生まれ。
1986年アメリカ移住。1994年ドイツ移住。
1991年第1詩集『笑うバグ』を刊行。
『世界中年会議』で第3回山本健吉賞・第5回駿河梅花文学賞、『噤みの午後』で第11回萩原朔太郎賞、『日本語の虜囚』で第4回鮎川信夫賞を受賞。
2020年3月、34年ぶりに生活の拠点を日本に戻す。
訳:吉川凪
大阪生まれ。仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学専攻。文学博士。
著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ─ 高漢容と仲間たち』、訳書として『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、パク・ソンウォン『都市は何によってできているのか』、チョン・セラン『アンダー・サンダー・テンダー』、呉圭原詩選集『私の頭の中まで入ってきた泥棒』、チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』、朴景利『完全版 土地』、崔仁勲『広場』などがある。
金英夏『殺人者の記憶法』で第四回日本翻訳大賞受賞。

ISBN:9784910214313
出版社:クオン
判型:A5変
ページ数:104ページ
価格:2500円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DC