東洋哲学序説 井筒俊彦と二重の見
著:西平 直
紙版
内容紹介
古今東西の言語と思想に通じた一代の碩学・井筒俊彦。その豊饒な思索の一側面を内側からトレースする。
分節と無分節の同時現成、二重の見、事事無礙。そして、禅モデルと密教モデルの問題。意識構造モデルの問題もある。深層意識におけるイマージュ、コトバの本源的なはたらき、あるいは、意味分節理論もある。井筒は思想研究の方法論を強く意識していた。イスラーム思想の意味論分析に遡る仕方で、その強靭な思索の根幹を見定める。
『意識と本質』以降の自在な語りを支えていた礎石。対話でもなく比較でもない。複数の思想を自分の内で溶かしてしまう「インターペネトレーションのところ」。井筒哲学の深淵を静かに拓こうとする。
姉妹編『東洋哲学序説 西田幾多郎と双面性』近刊。
目次
目 次
序 章 井筒哲学を読む
I 「二重の見」の原風景
第一章 「二重の見」とは何か──禅師の三段階モデル
第二章 「分節と無分節の同時現成」とは何か──認識、存在、そして、言葉
第三章 道元「水、水を見る」──『正法眼蔵』と「二重の見」
第四章 「二重の見」──東洋哲学の基本構造
II 深層のコトバ──意識構造モデル・意味分節理論・意味論分析
第五章 「二重の見」と「構造モデル」
第六章 コトバの本源的な働き──禅モデルと密教モデル
第七章 意味分節理論──「気づく」ということ
第八章 意味論分析──『意識と本質』に先立つ英文著作の方法