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現代韓国語の形式名詞「것geos」に関する研究

著:丁 仁京

紙版

内容紹介

本書は、現代韓国語の形式名詞「것geos」及び「것geos」諸形式をスコープ機能の観点を導入し、連体形語尾との関連からその意味・機能を論証したものである。また、韓国語の形式名詞「것geos」の意味・機能の拡張を文法化の観点から考察し、さらに、日本語の形式名詞と比較対照を行い、言語学における韓国語の形式名詞「것geos」の位置づけを包括的に論じた。韓国語の形式名詞「것geos」が前後の形式と結びついて新たな複合的要素を生み出す点、そして節を名詞化する機能を通じて新たな機能を獲得していく点で日本語の形式名詞、中でも「の」との共通点を見せるものの、日本語にはない韓国語の連体形語尾の形式の対立によって「것geos」の変遷が日本語と異なる様相を見せていることを指摘した。文法化がしにくいとされる韓国語の中にあって、「것geos」の諸形式は文法化のそれぞれの段階が見て取れる貴重な事例であると言え、その文法化は進行中である。

本書で得られた成果は今後の韓国語学にとどまらず、日韓両言語における形式名詞の比較研究に寄与できれば幸いである。


[ 目次 ]

第1章 序論
第2章 本稿の考察対象に関する共通知識
第3章 従属節における「것geos」の機能
第4章 スコープ機能の「것이다 geos-ida」
第5章 モダリティ機能の「것이다 geos-ida」
第6章 終結語尾の「-ㄴ걸 n-geol」「-ㄹ걸 l-geol」「-ㄹ게 l-ge」
第7章 形式名詞「것geos」の言語学的位置づけ
第8章 結論

目次

第1章 序論
1.1 はじめに
1.2 研究の対象
1.3 研究の背景と目的
1.4 研究の方法
1.5 考察に用いる言語資料
1.6 本書の構成

第2章 本稿の考察対象に関する共通知識
2.1 はじめに
2.2 形式名詞「것geos」の機能
2.3 連体形語尾に関する先行研究
2.4 2章のまとめ

第3章 従属節における「것geos」の機能
3.1 はじめに
3.2 連体修飾節構文の二類型
3.3 連体修飾節構文による意味の差異
3.4 3章のまとめ

第4章 スコープ機能の「것이다 geos-ida」
4.1 はじめに
4.2 後接要素である指定詞「이다 ida」の特徴
4.3 スコープ機能の「것이다 geos-ida」
4.4 先行研究の概観
4.5「것이다 geos-ida」文の焦点の位置と対比性
4.6 肯定・疑問のスコープ
4.7「것이다 geos-ida」文の構造
4.8 4章のまとめ

第5章 モダリティ機能の「것이다 geos-ida」
5.1 はじめに
5.2 先行研究の概観
5.3 考察の観点と考察対象
5.4「-ㄴ 것이다 n geos-ida」の意味・機能
5.5「-ㄹ 것이다 l geos-ida」の意味・機能
5.6 5章のまとめ

第6章 終結語尾の「-ㄴ걸 n-geol」「-ㄹ걸 l-geol」「-ㄹ게 l-ge」
6.1 はじめに
6.2「-ㄴ걸 n-geol」「-ㄹ걸 l-geol」の意味・機能
6.3「-ㄹ게 l-ge」の意味・機能
6.4 6章のまとめ

第7章 形式名詞「것geos」の言語学的位置づけ
7.1 はじめに
7.2 文法化の観点からの考察
7.3 対照言語学的研究の観点からの考察
7.4 7章のまとめ

第8章 結論

著者略歴

著:丁 仁京
丁仁京(ちょん・いんぎょん)

〈略歴〉
韓国出身。麗澤大学大学院言語教育研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在、福岡大学教育開発支援機構共通教育研究センター外国語講師。

〈主要著書・論文〉
「韓国語の文末表現「것이다」のスコープ機能」(『朝鮮学報』第 208 輯,朝鮮学会)、「韓国語の終結語尾‘- ㄴ걸’‘- ㄹ걸’の研究―話し手が言及する情報と統語形式との関連―」(『朝鮮学報』第 216 輯,朝鮮学会)、「韓国語の先語末語尾‘- 시 (si)-’の対者敬語化―日本語との比較―」(『福岡大学人文論叢』第 48 巻第 2 号,福岡大学研究推進部)「韓国語の形式名詞‘것’と日本語の形式名詞」(『韓国語教育論講座』第 3 巻,くろしお出版)、など。

ISBN:9784910132075
出版社:博英社
判型:A5変
ページ数:238ページ
価格:3000円(本体)
発行年月日:2021年07月
発売日:2021年07月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:CF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:CJ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 4:2G