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からだの病いとこころの痛み

苦しみをめぐる精神分析的アプローチ

著:村井 雅美

紙版

内容紹介

私たちは人と出会うなか、いつしか“こころが通っている”感覚に包まれていることがあります。
「いつも微かに」あるいは「この瞬間とてつもなく」…… 

それは、相手に同調できて寄り添えたからでしょうか? 
自分を思いやって手を差し伸べてくれたからでしょうか?
 
じつは“こころが通った”という感覚は、そうした応報のなかにではなく、「自分のなかに相手のこころが贈り物のように宿って、その包みの紐をそっと解いて、相手を暖かく見つめ返す」、そんな響きあいの場面にこそあるのではないでしょうか。

○ 本書では、こうした “内面の響きあい”を見つめて、人の《苦しみ》にアプローチします。
それも、人間が避けてとおれない「病気に見舞われる」状況で「大切な他者」とのあいだに起きている“こころの動き”に、眼差を据えます。

○ 病気という体の故障は医療で改善できても、もつれてしまった不幸は、人と人の出会いのなか“こころが通う”感覚でしか、暖かく受け留められることはないのかもしれません。

目次

目  次

刊行に宛てて(東中園 聡)

まえがき
introduction 現代社会で見失われたもの


三つの視点  
関係とは? 相互性とは?

CHAPTER 1  臨床の知
その人らしく生きていくために
三つの視点そして
精神分析のまなざし
生きていくために欠かせないもの

CHAPTER 2  病むということ
病むこと 生きること
子どものこころ 大人のこころ
つらいこと 再演の場
内なる対話 ともに

CHAPTER 3  病むことへの関わり
周産期・乳幼児期の病い
周産期・乳幼児医療とこころ
新たな視点の導入


四つの出会い  
病むこととは? 生きることとは?

CHAPTER 1  阻まれた「つながり」そして孤独
名づけられなかった声
心象の住み家

CHAPTER 2  分断された「つながり」そして怯え
絶たれてしまった声
透明な壁で分かたれて

CHAPTER 3  傷つきと「つながり」のほころび
出てこない声
母親のナルシシズム

CHAPTER 4  病いと「つながり」の解体
乱れてしまった声
母親のまなざしに宿る病い


conclusion 身体の傷とこころの臨床
文  献

雪-寄草—幸福の追求、あるいは不幸(松木邦裕)

あとがき

著者略歴

著:村井 雅美
村井雅美(むらい まさみ)
1993年、米国ニューハンプシャー大学大学院心理学部博士課程中途退学。
2018年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(臨床実践指導学講座)単位取得退学。博士(教育学)。
臨床心理士。
日本精神分析学会認定心理療法士スーパーバイザー。

著書に『もの想うこころ——生きづらさと共感 四つの物語』〔木立の文庫, 2019年〕がある。

ほかに『対象の影——対象関係論の最前線』共訳〔館直彦監訳:岩崎学術出版社, 2009年〕、
『フロイト——視野の暗点』共訳〔後藤基規・弘田洋二監訳: 里文出版, 2007年〕、
『被虐待児の精神分析的心理療法』共訳〔平井正三・鵜飼奈津子・西村富士子監訳: 金剛出版, 2006年〕、
『精神分析という経験——事物のミステリー』共訳〔館直彦・横井公一監訳: 岩崎学術出版社, 2004年〕、
『パニック障害の心理的治療法——理論と実践』共著〔佐藤啓二・高橋徹編著: ブレーン出版, 1996…

ISBN:9784909862068
出版社:木立の文庫
判型:A5
ページ数:248ページ
価格:3600円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年11月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM