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尼ヶ崎彬セレクション 1

利休の黒

美の思想史

著:尼ヶ﨑 彬

紙版

内容紹介

「茶の湯」はどのようなものとして形成されてきたのか。

「仏教の無常」「老荘の脱俗」「和歌の伝統」——さまざまな視点から、日本の美を表してきた事象や人物を縦横無尽に掘り下げ、美の思想史として体系づけた待望の書き下ろし。

千利休生誕500年記念出版!

目次

序 「生の術」としての茶道

第一章 日本の奇妙な文化 宣教師の見た「茶の湯」   
 1 ロドリゲスの『日本教会史』
 2 秩序の基礎としての身分制度
 3 宴会の幸福
 4 「茶の湯」という特殊な招宴
 5 隠者と名物
 6 「数寄」の目的
 7 ロドリゲスの見た日本文化と茶の湯

第二章 「茶の湯」前史 遊宴と貴賤
 1 雅俗と遊宴
 2 遊宴の中の茶
 3 勝負の興奮
 4 機知の遊びとしての連歌
 5 礼法と無礼講
 6 「会所」という自由空間

第三章 婆娑羅と闘茶 「雅」から「数寄」へ
 1 闘茶の登場
 2 「婆娑羅」—豪華絢爛の風流—
 3 闘茶の理想—『喫茶往来』の茶会と茶人—
 4 歌の数寄と茶の数寄

第四章 『山上宗二記』のストーリー 秘伝と禅
 1 茶の湯の起源
 2 貴賤同座と名物所持
 3 茶人の分類
 4 珠光一紙目録
 5 茶の湯の様式の変化—数寄の流行—
 6 義政と珠光
 7 禅の影響
 8 『山上宗二記』とは何か

第五章 珠光の美意識 「雲間の月」と「藁屋に名馬」
 1 雲間の月
 2 見える花から見えない花へ—長明の「秋の夕暮」—
 3 身に沁む「あはれ」—兼好の大路—
 4 「萎れたる」風情—世阿弥の花—
 5 「花」は散らねばならない—心敬の無常—
 6 「冷え」という美意識
 7 「藁屋に名馬」

第六章 都市の隠者 「侘び」と「中隠」
 1 「侘び」の源流その一—配流の生活—
 2 「侘び」の源流その二—閑居の自適—
 3 「侘び」の源流その三—「空」と「無常」—
 4 出世間の思想—山中への遁世と市中の隠者—
 5 珠光の継承—宗珠—

第七章 紹鷗の開眼 「不変」と「随縁」
 1 紹鷗の眼
 2 『詠歌大概』という秘伝
 3 宗祇の解釈
 4 本歌取という唯一の方法
 5 定家の本歌取
 6 不変の「心」と新しい「情」
 7 「心付」と「寄合」
 8 世界を見る眼
 9 不変と随縁
 10 ただ一つの道具

第八章 秀吉のかき回し 茶の湯と政治
 1 信長の手柄—政治のための茶の湯—
 2 秀吉の創意
 3 山里丸
 4 大徳寺大茶湯
 5 禁中茶会
 6 北野大茶湯

第九章 茶道具の誕生と変容 「飾り」と「見立て」
 1 雅俗と茶の湯
 2 茶の湯の道具と飾り
 3 発見された茶道具—「見立て」という創造—
 4 茶道具の価値
 5 「見立て」の逆転
 6 藁屋と名馬
 7 墨跡の登場

第十章 利休の黒
 1 利休の史料
 2 利休と道具
 3 新しい「雅俗」—「贅沢な貧弱」と「軽薄」—
 4 「こび」と「異風」
 5 利休の理想

終章 その後とこれから
 1 利休没後の茶道
 2 文化としての茶と酒
 3 茶の文化のゆくえ

  あとがき/引用文献/参考文献/登場人物略記

著者略歴

著:尼ヶ﨑 彬
1947 年愛媛県生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退(美学芸術学専攻)。
東京大学助手、学習院女子短期大学助教授を経て2017 年まで同女子大学教授。
美学、舞踊学。
著書に、『花鳥の使』(勁草書房、1983年)、『日本のレトリック』(筑摩書房、1988年)、『ことばと身体』(勁草書房、1990年)、『縁の美学』(勁草書房、1995年)、『ダンス・クリティーク』(勁草書房、2004年)、『近代詩の誕生』(大修館書店、2011年)、『いきと風流』(大修館書店、2017年)など。

ISBN:9784909832610
出版社:花鳥社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WBXN12