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レベティコ-雑草の歌

著:ダヴィッド・プリュドム
訳:原 正人
絵:ダヴィッド・プリュドム

紙版

内容紹介

ギリシャのブルースとも呼ばれる「レベティコ」の世界を
味わい深い絵と独特の詩情で描いた傑作バンド・デシネ

 第二次世界大戦前夜の1936年、軍人上がりのイオアニス・メタクサスが首相に就任し、ギリシャはファシズムへの道をまっしぐらに進んでいた。当時ギリシャのアテネでは、レベティコという音楽が流行していた。レベティコのミュージシャンたちが歌ったのは、自らが属す下層階級の人々の生きづらい日常。それが下層階級の人々から熱烈に受け入れられた。一方、当局にとっては、定職につかず、ハシシを常習し、喧嘩に明け暮れ、犯罪まがいのことに手を染めることもいとわず、昼はぶらぶら過ごし、夜な夜なバーで演奏してひと騒動起こすレベティコのミュージシャンたちは、風紀を乱す社会のお荷物以外の何ものでもなかった。

 主人公のスタヴロスもそんなミュージシャンのひとり。彼は仲間たちとグループを組み、自由気ままな生活を送っていた。グループのリーダー、マルコスが半年ぶりに刑務所から出所したその日、スタヴロスと仲間たちは再会を祝い、久しぶりのセッションを楽しみ、乱痴気騒ぎを繰り広げる――。戦争が間近に迫り、自由がまさに失われようとする窮屈な時代に、あくまで我を通し続けた愛すべき人物たちの長い一日の物語。

著者略歴

著:ダヴィッド・プリュドム
1969年10月4日、フランスはロワール川流域古城群にほど近いトゥール生まれ。7歳で初めてンド・デシネバ(=フランス語圏のマンガ)を描く。左利き。ルーヴル美術館、先史時代の洞窟、奇人変人たちが住む村、中世の動物寓話、浜辺の一日など、これまでに多種多様なテーマのンド・デシネを発表。新作に取り組むたびに、テーマに合わせて新しいスタイルに挑戦している。2004年、日仏のマンガ家によるアンソロジー『JAPON』(飛鳥新社)の企画に参加するために初来日し、九州に滞在。さまざまな刺激を受ける。2012年に再来日を果たし、福岡を拠点に力士をテーマにした創作に励む。力士のイラストは300点にのぼり、それらをもとにフランスで展覧会が行われ、「スモウグラフィ(Sumographie)」という書籍が出版された。その後、2016年、2018年、 2019年にも来日している。本書『レベティコ-雑草の歌』はダヴィッド・プリュドムが自分自身の一部だと語る自信作。
訳:原 正人
1974年静岡県生まれ。フランス語圏のマンガ“バンド・デシネ”を精力的に紹介する翻訳家。フレデリック・ペータース『青い薬』(青土社)、トニー・ヴァレント『ラディアン』(飛鳥新社)、ジャン・レニョ&エミール・ブラヴォ『ぼくのママはアメリカにいるんだ』(本の雑誌社)、オーレリアン・デュクードレ、メラニー・アラーグ『金正日の誕生日』(誠文堂新光社)、アレックス・アリス『星々の城』(双葉社)、バスティアン・ヴィヴェス『年上のひと』(リイド社)など訳書多数。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。本書『レベティコ-雑草の歌』とともに立ち上がるサウザンコミックスでは編集主幹を努める。

ISBN:9784909125248
出版社:サウザンブックス社
判型:A4変
ページ数:108ページ
価格:3000円(本体)
発行年月日:2020年10月
発売日:2020年10月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:XA