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このくにのサッカー

日本サッカーの「これまで」と「これから」

著:賀川 浩

紙版

内容紹介

92歳の現役最年長スポーツライター(FIFA会長賞受賞者)を前に、サッカー界の重要人物たちが胸襟を開き、自由に語る。日本サッカーの歴史と未来を考える奇跡の対談集。対談参加者14名(登場順)。岡田武史(FC今治代表、元日本代表監督)、川淵三郎(Jリーグ初代チェアマン)、櫻井嘉人(フットサル名古屋オーシャンズ代表)、釜本邦茂(メキシコオリンピック得点王)、澤穂希(元なでしこジャパン)、セルジオ越後(サッカー解説者)、黑田和生(台湾代表監督、滝川二高元監督)、加藤寛(日本クラブユースサッカー連盟会長)、佐々木則夫(なでしこジャパン前監督)、加茂建(加茂商事代表取締役)、岸本健(フォート・キシモト創業者)、石井幹子(照明デザイナー、ベルリン五輪サッカー日本代表主将・竹内悌三息女)、岡野俊一郎(第9代日本サッカー協会会長)、デットマール・クラマー(元日本代表コーチ)。

目次

このくにのサッカー 目次

まえがき

第1章 戦略 strategy
岡田武史(FC今治代表、日本サッカー協会副会長)……今ではコーチをやりたいなんて全然思わないです。「何をやってきたんだ。オレみたいなのがやってたら日本のサッカーだめだ」と衝撃を受けたんです。
川淵三郎(Jリーグ初代チェアマン、第10代日本サッカー協会会長)……「こういうのをつくったって意味ない」「これをやって何人代表が育つんだ?」なんて人がいますが、そんな短い、短期的な目で見てくれるな、と。100年の大計ですよ。
櫻井嘉人(名古屋オーシャンズ代表)……フットサルを通じて日本のサッカーも強くしたい。実際フットサルを子供のうちに経験しておくと、ボールスキルも上がりますし、シュートの感覚も身に付きます。

第2章 戦場にて on the pitch
釜本邦茂(メキシコオリンピック得点王)……最後のゴール前30メートルにタレントがいるかどうかですよ。この30メートルをこれからどうするかということが、日本が上にいくためのいちばん大事なポイントになるんです。
澤 穂希(元なでしこジャパン、FIFA最優秀選手賞受賞者)……昨日の試合を振り返ると、本当に「この試合に勝たなきゃいけない」と、死にもの狂いでやった選手が何人いるのかなと思うんですよ。

第3章 育む coaching
セルジオ越後(サッカー解説者、H.C.栃木日光アイスバックスシニアディレクター)……子供が減っていくことへの対策をサッカー協会もスポーツ団体も何も考えていないのが気になるね。トップの強化だけを考えて社会の変化への対策を見逃しているんじゃないかという感じがするのね。
黑田和生(台湾代表監督)、加藤寛(日本クラブユースサッカー連盟会長)……戦術論がこれだけ盛んになって、システムとかトレーニング方法のほうへコーチの関心が行って、「どうやって好きにさせ、やる気にさせるか」というアプローチがちょっと抜かっているんじゃないかという心配はありますね。
佐々木則夫(元なでしこジャパン監督)……女子サッカーがワールドカップで優勝して、オリンピックで銀メダルも取って、日本では「なでしこジャパン」が広く知られるようになった。だけど、じゃあ底辺の部分で組織ができているか、女子がサッカーをやる場が増えたのか。

第4章 広める support
加茂 建(加茂商事代表取締役)……「店を出すなら、加茂スポーツというようなよくある名前ではなく『サッカーショップ』にしたらどうだ」というアドバイスをもらいました。そのアドバイスには今でも感謝しています。
岸本 健 (フォート・キシモト創業者)……サッカーの世界では、クラマーさんのさらに前、戦前のベルリン大会の人たちもいるわけです。このままその人たちの名前が消えていっていいのか、という気持ちが僕にはあるんです。

第5章 温故知新 classics
石井幹子(照明デザイナー)……岡野先生がおっしゃるには父の竹内悌三のチームが日本選手でナイターを経験した初めてのチームじゃないかって。そのときの照明って、いったいどんなものだっただろうな、なんて想像もしたんですよ。
岡野俊一郎(第9代日本サッカー協会会長)……ここ10年ぐらい、日本のサッカーは「二流の上だよ」と言っています。一流の底がようやく見えてきた、しかし一流にはまだなっていない、二流の上です。
デットマール・クラマー(元日本代表コーチ)……直覚(intuition)のないコーチは死んだも同じですよ。間違いを見つけるのは易しい。しかし、それでは不充分で、その間違いの原因を見つけなければならない。そのミスのルーツを見つけなくてはいけないのです。

あとがき

関連年表/索引

著者略歴

著:賀川 浩
賀川浩(かがわ・ひろし) 1924年、神戸市に生まれる。神戸一中(現・神戸高)で全国大会優勝、神戸経済大(現・神戸大)で東西学生蹴球対抗王座決定戦準優勝、大阪クラブで天皇杯準優勝。52年、産経新聞入社。75年から10年間、サンケイスポーツ編集局長(大阪)。90年よりフリーランス。兵庫サッカー友の会(63年)、社団法人神戸フットボールクラブ(70年)創設メンバー。2014年、神戸市立中央図書館に神戸賀川サッカー文庫を開設。ワールドカップ10回、ヨーロッパ選手権5回、南米選手権1回の取材経験を持ち、現役最年長スポーツライターとして2015年にFIFA会長賞受賞。著作に『90歳の昔話ではない。古今東西サッカークロニクル』(東邦出版)ほか。2010年、日本サッカー殿堂入り。

ISBN:9784908087066
出版社:苦楽堂
判型:A5
ページ数:336ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2017年05月
発売日:2017年05月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SF