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身体の知

湯浅哲学の継承と展開

編:人体科学会
著:鎌田 東二
著:黒木 幹夫

紙版

内容紹介

倫理学・哲学・日本思想・身体論・気・ニューサイエンスなどの広範な領域に及ぶ湯浅哲学の目指すところは、テオーリア(理論)の知とプラクシス(実践)の知の統合、つまり西洋的知と東洋的知を如何に統合するかということにあった。それはとりもなおさず、二元論の克服であり、哲学が死んだとされる科学技術偏重の現代社会への警鐘と、克服の模索である。この湯浅泰雄の問いかけに答え、湯浅哲学を継承発展させていくべく、11人の研究者が、宗教、心理学、哲学、医学、思想史など様々な立場から論じる。

目次

まえがき   鎌田東二
第1章 テオーリアの知とプラクシスの知の統合を求めて
 「知のあり方」と哲学のありよう   黒木幹夫
 湯浅泰雄『身体論』を巡って   倉澤幸久
 湯浅泰雄におけるテオーリアの知とプラクシスの知の統合   鎌田東二
第2章 湯浅泰雄と現代思想──湯浅泰雄の問いを受けて
 湯浅泰雄の修行論と身体の知をめぐって   桑野 萌
 湯浅泰雄と近代日本の哲学──「宗教」への問いをめぐる和辻・西田との対決   杉本耕一
 生きられた経験(expérience vécue)への道──湯浅泰雄とメルロ=ポンティ   奥井 遼
第3章 人体科学の挑戦──身体の知を掘り起こす
 心身問題と他者問題──湯浅泰雄が考え残したこと   田中彰吾
 代替医療と身体的実践の知   鮎澤 聡
 「〈気〉とは何か」再考──主体的経験の科学の立場から   村川治彦
 メタプシキカの探究──湯浅泰雄のユング受容とその展開   渡辺 学
 超・身体論──光の存在論へ   永沢 哲
あとがき   鮎澤 聡
湯浅泰雄年譜 訳注
 文献目録

著者略歴

編:人体科学会
科学技術や経済発展が顕著な反面、精神の不安、モラルの衰退、愛の喪失といった心理的危機が広がっている現代社会、東西の文明の古い英知を現代において問い直すという立場から人体科学会は設立。従来の学問分野の境界を越えて、文科系から医療体育系、理工系まで総合した観点に立ち、各学系総力で未知の領域(身体・気・意識・霊性など)の洞察を深め、人間の本質を探究し、将来の世界における思想的理念を求めてゆくことを目標としている。1996年度に日本学術会議第17期学術研究団体(哲学部門)に登録。2004年に日本学術会議法の一部が改正され、それまでの「登録学術研究団体」が廃止され、現在は日本学術会議協力学術研究団体。
著:鎌田 東二
1951 年徳島県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程単位取得退学。岡山大学大学院医歯
学総合研究科博士課程単位取得退学。現在、京都大学こころの未来研究センター教授。宗教哲学・
民俗学・日本思想史・比較文明学を研究。文学博士。NPO 法人東京自由大学理事長。人体科学会常
任理事。著書に『翁童論』四部作(新曜社)、『宗教と霊性』『古事記ワンダーランド』(以上、
角川選書)など。現在、『講座スピリチュアル学』企画・編(全7 巻、BNP)を刊行中。
著:黒木 幹夫
1948年東京都生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業後、ドイツ留学を経て、大阪大学大学院文学研究科(日本学)修了。湯浅泰雄の指導を受ける。文学修士。愛媛大学教授教養部を経て、愛媛大学教授法文学部に配置換え。愛媛大学法文学部長を歴任し、退職後は愛媛大学名誉教授。人体科学会理事。著書に、湯浅泰雄編集『密議と修行』(共著、春秋社)、翻訳にC. G. ユング著『東洋的瞑想の心理学』(湯浅泰雄と共訳、創元社)。

ISBN:9784908055102
出版社:ビイング・ネット・プレス
判型:A5
ページ数:355ページ
価格:3600円(本体)
発売日:2015年11月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDT