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琉球・沖縄寄留民の歴史人類学

移住者たちの生活戦術

著:玉城 毅

紙版

内容紹介

18世紀から20世紀にかけての琉球・沖縄社会において断続的に生み出されてきた、居住人や寄留民と呼ばれる移住者の歴史経験に着目し、社会のなかで「正規の」制度的な位置づけをもたなかった人びとや、権力が規定する秩序からはみ出したり、あるいははじき出されたりした人びとが、どのような社会関係をつくってきたのかを考察した学術的成果。
「きょうだい」を論じることで、従来の歴史学および文化人類学的なアプローチでは捉えられなかった階層文化としての琉球/沖縄像を提示する。

目次

序章 なぜ寄留民を研究するのか

1、研究の目的と背景
2、ポリティカル・エコノミー研究と親族研究
3、本書の構成

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第I部 居住人を生み出した琉球王国──近世
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第1章 上層士への道

1、地頭の種類と人数
2、不安定な地頭
3、地頭になった経緯
4、上層士の〈父系出自〉と〈家〉

第2章 中・下層士の経済基盤

1、給与と役職の体系
2、役職の安定度
3、旅役と心附役における役得
4、士の流動性

第3章 王府組織を生きた兄弟たち

1、麻氏十一世の兄弟
2、臨時役時代と兄たちの支え
3、晩年の出世と戦略
4、中・下層士の戦術と兄弟

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第II部 制度改変のインパクト──近代移行期
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第4章 王府解体と屋取の形成

1、近代沖縄の士族
2、明治政府による秩禄処分
3、無禄士族の行方と屋取形成
4、制度の外の屋取形成

第5章 土地制度と屋取

1、地割制下の居住人
2、私有地を獲得した居住人
3、土地制度の改変と寄留民
4、制度的拘束と屋取

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第III部 〈きょうだい〉の民族誌──近現代
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第6章 士族系寄留民の生活戦術

1、問題の所在と対象
2、〈きょうだい〉を結びつける文化的規範
3、屋取の経済的展開
4、個人の努力と〈きょうだい〉
5、近代的状況における〈きょうだい〉

第7章 百姓系寄留民と屋取

1、屋取の景観
2、屋取の空間的展開
3、〈きょうだい〉を基点とする地域集団
4、士族・百姓屋取と〈きょうだい〉

第8章 糸満漁民の開拓戦術

1、移住者の流動的状況からの秩序形成
2、移住と村落形成の歴史
3、二十世紀前半の「門」における〈きょうだい〉世帯
4、開拓推進の核としての〈きょうだい〉
5、門中の論理と〈きょうだい〉の論理
6、実践の結果としての秩序

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終章 体制的秩序からはみ出すこと、二者が対等につながること

1、階層文化としての親族
2、〈門中のイディオム〉と〈きょうだいのイディオム〉
3、寄留民の歴史人類学

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補論 東アジア親族研究史――〈父系出自〉〈家〉〈きょうだい〉で捉える親族

1、東アジア親族研究と国家
2、戦略としての親族──〈父系出自〉〈ネットワーク〉〈家〉
3、戦術としての〈きょうだい〉
4、寄留民の戦術としての〈きょうだい〉

  注
  参考文献
あとがき
  索引

著者略歴

著:玉城 毅
1966年、沖縄県八重瀬町港川に生まれる。
広島大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得退学。東北大学大学院文学研究科(博士)。
現在は、奈良県立大学地域創造学部教授。専攻は文化人類学。
共著に、
『グローバリゼーションとつながりの人類学』(2021年)、
『日本で学ぶ文化人類学』(2021年)、『海民の移動誌』(2020年)、
『東アジアで学ぶ文化人類学』(2017年、以上すべて昭和堂)、
『つながりの文化人類学』(分担執筆、東北大学出版会、2012年)がある。

ISBN:9784907986841
出版社:共和国
判型:菊判変
ページ数:440ページ
価格:6000円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB