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ワタシの迷宮劇場

著:森村泰昌

紙版

内容紹介

1970年代に京都市立芸術大学で学んだ森村は、美術史における名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレートを制作することで、ジェンダーや人種を含んだ個人のアイデンティティの多重性を視覚化し、個人史と歴史の交錯点を表現してきました。近年では、ジャパン・ソサエティ(2018年)、プーシキン美術館(2017年)、国立国際美術館(2016年)、アンディ・ウォーホル美術館(2013年)、アーティゾン美術館(2021年)での個展開催のほか、「横浜トリエンナーレ2014」でアーティスティックディレクターを務めるなど、国内外で活躍を続けています。

京都市京セラ美術館で開催される展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」では、これまでほとんど発表されることのなかった、1986年から撮りためている秘蔵のインスタント写真約800枚を中心に、35年余り継続されてきた私的世界の全貌を公開する初の試みとなります。何者かになり変わることで自己を解体し、一個人における複数の顔を露呈する森村の表現は、スマートフォンの進化やSNSの普及によって身近になった「自撮り」と共通しながらも、決定的に異なる面を持っています。そこには、自己への透徹した眼差しと、一人の人間が複数の存在として生きていくことへの圧倒的な肯定を見ることができます。コロナ禍において、あらためて自身の制作の原点に立ち返ることでこれからを模索する、森村の現在を提示する展覧会となるでしょう。

本書は展覧会の核となる秘蔵のインスタント写真から成る一冊。森村自身が「ポラは私にとって、鏡を超えた鏡だとさえ言えるだろう」と言い表す、作品制作の過程で生まれたこれらのインスタント写真を作品集としてまとめ上げました。272ページのボリュームで、出品されている約800枚ものインスタント写真を全て収録した充実の一冊となります。装丁には展覧会に使われているカーテンの色をイメージした布を表紙に用いた決定保存版です。

著者略歴

著:森村泰昌
1951 年大阪市生まれ。1985年にゴッホに扮したセルフポートレイト写真でデビューして以降、国内外で作品の発表を続ける。近年の個展に「森村泰昌:自画像の美術史——「私」と「わたし」が出会うとき」(2016年、国立国際美術館)、「Yasumasa Morimura: EGO OBSCURA」(2018-19年、ニューヨーク、ジャパン・ソサエティ)、「M 式「海の幸」——森村泰昌 ワタシガタリの神話」(2021-22年、アーティゾン美術館)等。ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」では、アーティスティック・ディレクターを務めた。2018 年には大阪・北加賀屋に自身の美術館「モリムラ@ミュージアム」が開館。執筆活動も精力的に行い『自画像のゆくえ』(2019年、光文社新書)をはじめ多数の著書がある。

ISBN:9784907562366
出版社:torch press
判型:A4変
ページ数:272ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AGA