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BIOCITY ビオシティ 80号 日本の美しいむら再発見! 水系散居村の歴史と景観

他著:糸長 浩司
他著:岩槻 邦男
他著:金田 章裕

紙版

内容紹介

創刊25周年+80号を記念し、「日本の美しいむら」として知られる散居村を、植物学、歴史地理学、景観学など、さまざまな分野の専門的知見を結集し、「水系散居村」という視点で取り上げる。富山県の砺波平野や山形県飯豊町など、日本全国に残る散居村は、その源流を中世まで遡る。散居村の多くが、河川がつくりだす扇状地や、島の傾斜地などに立地し、水の恩恵を受けながら歴史を刻んできた。昨今、屋敷林の生物多様性や防水・防風・防雪の機能や環境対応性が評価され、エコの視点からも注目を集めている。世界遺産の文化的景観の価値も見据え、知られざる散居村の歴史と魅力を紹介する。

目次

2 口絵 散居村の四季
10 巻頭言 水系散居村の哲学と景観 糸長浩司

Part I 散居村の歴史と景観を読み解く
22 散居の生活を支える屋敷林 自然と共生するための役割と特性 岩槻邦男
30 砺波散村の歴史 古代から現代まで 歴史地理学から読み解く散村の変遷 金田章裕
40 散居の文化的景観 自然と共生するための役割と特性 五十嵐敬喜

Part 2 各地の散居村の形成と固有性
48 砺波平野の水田・水利システム 砺波発の水利用11の工夫 広瀬慎一
56 壱岐島の散居集落の空間と暮らし 江戸時代から続く壱岐型土地利用 加藤仁美
84 出雲平野、築地松の造形と機能 その根底にあるもの 長野和雄
72 胆沢扇状地の散居村ランドスケープ 人の目、鳥の目、カエルの目による視座 大澤啓志
81 黒部川扇状地散居村と水 自然と一体化した豊かな生活空間 水嶋一雄
90 山形県飯豊町「田園散居集落」の歴史 日本の美しい村はいかにして生まれたか 伊藤賢一
100 中国四川の散居と文化 オルターナティブとしての院子的居住 小島泰雄
108 全国散居村連絡協議会の歩み 散居村を有する自治体の交流連携 遊部晶子

著者略歴

他著:糸長 浩司
糸長浩司:日本大学生物資源科学部特任教授。環境と共生するあり方について研究し、飯舘村の支援活動などを行う。NPO法人エコロジー・アーキスケープ代表理事。1995年に日本のパーマカルチャー運動を始め、アグロフォレストリー「食べられる森」、エコビレッジの実践的研究を進める。長年、全国の農村地域での住民参画型地域づくりに取り組む。
他著:岩槻 邦男
岩槻邦男:1934 年兵庫県生まれ。兵庫県立人と自然の博物館名誉館長。日本植物学会会長、国際植物園連合会長、日本ユネスコ国内委員などを歴任。94 年日本学士院エジンバラ公賞受賞。2007年文化功労者。16年コスモス国際賞受賞。研究や著作を通じて、科学の細分化が進む時代に自然を統合的に理解することの重要性を説く。『生命系』(岩波書店)、『ナチュラルヒストリー』(東大出版会)など著書多数。
他著:金田 章裕
金田章裕:砺波市立砺波散村地域研究所長、京都大学名誉教授。1946年生まれ。京都大学教授、人間文化研究機構長などを経て、2018年より現職。専門は人文地理学。オーストラリア地域研究や日本古代の地理学研究に従事し、多数の著書を刊行(参考文献参照)。近著に、古文書や絵図、地形などから古代の壮大な土地計画の実態を探究した『古代国家の土地計画:条里プランを読み解く』(吉川弘文館、2017年)がある。

ISBN:9784907083557
出版社:ブックエンド
判型:B5
ページ数:128ページ
価格:2500円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月07日