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演劇で〈世界〉を変える

鈴木忠志論

著:菅 孝行

紙版

内容紹介

「世界水準」の演劇の誕生

「世界水準」に達している日本の演出家は、鈴木忠志だけだ――
早稲田大学の学生劇団自由舞台から、
早稲田小劇場(その後SCOT)の結成、
水戸芸術館や静岡県舞台芸術センターの芸術総監督就任、
日本初の世界演劇祭「利賀フェスティバル」や
第9回シアター・オリンピックスの開催へ。
同世代の評論家・劇作家として併走してきた著者が、
鈴木忠志のこれまでの活動と、
東西の古典劇や歌謡曲を再構成した独創的な作品を、
時代背景とともに精緻に分析、
「世界認識の媒介」あるいは
「世界批評」「世界変革」としてのありようを剔出する。

目次

第Ⅰ章 2019年・利賀
 1 演出家鈴木忠志をどう評価するか
 2 第九回シアター・オリンピックス
 3 SCOT 参加作品と劇団

第Ⅱ章 その初心と第一の飛躍(1960-1968)
 1 戦後への隔靴搔痒――新劇への違和
 2 学生演劇から六〇年代演劇へ
 3 早稲田小劇場の誕生――鈴木忠志・別役実・小野碩

第Ⅲ章 〈からだのことば〉が生きる場所へ(1969‐1973)
 1 『劇的なるものをめぐってⅡ』と鈴木忠志
 2 女優白石加代子の誕生――小野碩との別れ
 3 「演技論」の圏域をこえて

第Ⅳ章 根拠地を創る――60年代からの離陸(1974‐1983)
 1 異種格闘技の達成したもの
 2 利賀への〈長征〉
 3 新たな展開へ

第Ⅴ章 60年代演劇を遠く離れて(1984-1996)
 1 芸術総監督への助走
 2 世界批評の演劇
 3 SPACへ――活動のウィングの拡大

第Ⅵ章 SPAC芸術総監督の時代(1997-2007)
 1 SPACでの歌謡劇
 2 「日本人」との対峙
 3 西欧古典との対決

第Ⅶ章 再び利賀へ(2007‐2014)
 1 SPAC 最後の仕上げ
 2 利賀への回帰――世界各地からの招聘
 3 〈縮む日本〉との対峙

第Ⅷ章 「ニッポンジン」と向き合う(2014-)
 1 デタラメの効用
 2 歌謡劇の変容
 3 なぜ鈴木忠志を論じるのか

著者略歴

著:菅 孝行
菅 孝行(かん・たかゆき)
1939年生まれ。評論家、劇作家。
舞台芸術財団演劇人会議評議員、ルネサンス研究所運営委員、河合文化教育研究所研究員。
著書に『戦う演劇人』(而立書房、2007年)、『天皇制と闘うとはどういうことか』(航思社、2019年)、『天皇制論集 天皇制問題と日本精神史』(御茶の水書房、2014年)、『三島由紀夫と天皇』(平凡社新書、2018年)、編著に『佐野碩 人と思想』(藤原書店、2015年)など。

ISBN:9784906738458
出版社:航思社
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2021年09月
発売日:2021年09月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AT